『チームの力』から考える組織運営 -7- ~リーダーはメンターや感性の似た人を通して明鏡止水の境地に至る~

Pocket

「すきより」新シリーズ、「『チームの力』から考える組織運営」編。

第6回からは、「価値の原理」の内訳の一つ、
「チームが目的を達成するためのリーダーシップ」についてふれます。

これまでの「すきより」シリーズと同様、
博士と助手ちゃんによる、対話形式で行います。

明鏡止水の境地に至るには、
修行するよりも他者(メンターなど)を通した方が確実

博士
みなさん、こんにちは。
助手
こんにちわ~!
博士
今回は、「(1)-4:チームが目的を達成するためのリーダーシップ」を構成する、

(1)-4-1:リーダーシップの3つの定義
(1)-4-2:リーダーは状況の変化に合わせて性格を変えられない
(1)-4-3:「己を知る」大切さとその難しさ
(1)-4-4:メンターあるいは感性が似ている他者の大切さ、および注意点
(1)-4-5:状況によってリーダーや権限を変える
(1)-4-6:誠実さの大切さ、およびそれはごまかせない
(1)-4-7:なぜリーダーシップのテクニックは通用しないか
(1)-4-8:誠実なチームを作るためには

博士
…このうち、

「(1)-4-2:リーダーは状況の変化に合わせて性格を変えられない」以降について、見ていくことにします。


助手
たとえば、ゼロから1を作り出すタイプの人は、たいていオラオラタイプというか、とにかく勇猛果敢に突っ走るタイプですよね。

でも、組織がある程度固まってくると、今度は守りを固めないと、足下をすくわれる。

しかし、たいていの勇猛果敢リーダーはそれができない。

博士
あとは、成功体験が捨てられない、というのもあります。

状況が変わっていても、成功体験が捨てられないと、それにしがみついて失敗しがち。

助手
どうすればいいんでしょうかね?
博士
まずは、「己を知る」こと。
助手
まずは、自分が猪突猛進タイプか臆病タイプかとか、そういうのを把握しておけ、って話でしょ?

その手の性格診断云々は、なんかの話のネタにはいいのかもしれませんが、

それが、リーダーシップという修羅場で、どれだけ役立つかといえば、はっきり言って、疑問ですけどね?

博士
というと?
助手
いくら、自分のタイプが頭でわかってたとしても、

所詮「理性は感情の奴隷」なんだから、リーダーシップという修羅場で発生する、さまざまな感情レベルで生じる問題においては、どうしてもバイアスがかかってしまうじゃないですか。

博士
たとえ己を知ったつもりになっていても、バイアスから逃れるのは至難の業である以上、客観的な第三者の目で見れば、わかりそうなことでも、結局失敗してしまう、と。

このことを、西條先生は、

「欲望により現実を歪んで把握していたならば、
どんなに知性を巡らし、戦略を積み上げても、

“正しく間違える”ことになる」(P74)

博士
……と表現しています。
助手
「正しく間違える」! 言い得て妙ですね。
博士
この問題に対して、経営者たちは、禅や瞑想で対抗しようとする。

「経営者たちは禅や瞑想に取り組む人が多いが、
それは精神を明鏡止水に保つことで、
自我や欲望から距離を置き、
不安や怖れがない穏やかな状態から
物事をみられるようにするためだ」(P74)

助手
明鏡止水! おいしいんだそうですねぇ。私は下戸ですから、酒はあんまり飲めませんけど……
博士
日本酒の話じゃないんだよ!

助手
しっかし、やれ明鏡止水の境地とか、明鏡止水の心とか、アニメ・ゲームの主人公とか必殺技じゃないんだから、基本、無理くさくないですか?

禅や瞑想はいいのかもしれませんけど、そんな簡単に明鏡止水モードになれるとは、思えないですけどね?

博士
確かに、自分の心の中に明鏡止水を作るのは、ものすごく困難に違いない。

ベターなのは、他の人に自分の鏡になってもらうこと。

助手
他の人に鏡を持ってもらうんですか? 大鏡だったら、持つ人も大変ですねぇ。
博士
そうじゃなくて……

一つは、いわゆるメンターや師匠のアドバイスを定期的に受ける。

助手
メンターって、なんか優しくアドバイスしてくれる感じですよね。

その点、師匠って、何かと、

「そんなことも分からんのか、この馬鹿弟子があっ!」

とか言われそうで怖い。

博士
君の師匠観、なんか歪んでない?
助手
まぁ、ここでは「どうやってメンター見つけたらいいんだろう」とか、そういうのはいいです。

リーダーにとって、外部にメンターとか師匠を見つける、というのは大切だというのは、多くの人も言ってますし。

博士
外部にメンターを見つける以外にも、組織内部に、自分の鏡となる人を見つける手もある。

どういう人を自分の鏡にしたらよいかについて、西條先生は、以下のポイントをあげています。

・自分と違うタイプの人を選ぶ(自分が果敢タイプなら慎重派、あるいは逆)
・自分と似た感性の人を選ぶ

助手
なんかよくわからないなぁ。タイプが違うんなら、感性も違う気がするけど。
博士
西條先生は、自分と似た感性の人について、

「この人なら同じ出来事に対して同じように感じ、
同じように判断をするだろう」と思える人(P76)

博士
…と記載しています。

こういう自分と感性が似た人は、自分から欲望を抜いた”客観的な自己”のようなもので、そうした人の意見は妥当な意思決定の大きな助けになると指摘しています。

助手
要は、自分と似た感性の人って、自分とフィーリングが合う人、くらいのニュアンスですかね?
博士
そうなんだろうね。
助手
ただ、それも怪しいですけどねぇ。

私とその人が、本当に感性が似ているかなんて、単なる思い込みである可能性もありそうなもんですが……

博士
まぁ、「話が通じやすい人」=「感性が似ている人」くらいのニュアンスでいいんじゃない?

人間関係なんて、そんなもんじゃないのかね?

助手
えらい適当な……

まぁ、それはもういいとして、
メンターだろうと、感性が似ている人だろうと、そのアドバイスを受け止められなかったら、意味なくないですか?

博士
というと?
助手
昨今、何かと「上から目線」とか言われる現状があるわけで、
アドバイスの類いも、よほど言い方に気をつけないと、やっぱり「上から目線」扱いになるでしょ?

メンターの場合、それを受け入れている前提があるとしても、リーダーに組織内の人の意見を受け入れる器が、どれだけあるか、って話ですよ。

博士
そうだね。

加えて、アドバイスを聞いても、何のアクションもなかったら、
「アドバイスしたのに、スルーされた」と思われてしまう。

助手
既読スルーならぬ、アドバイススルー(笑)

ま、笑いごとじゃなくて、ありがちなお話ですが。
やっぱり、西條先生も、この点言及してるんでしょ?

博士
もちろん。

「せっかく言ってくれた意見をスルーしたり、
苦言を呈してくれた人を冷遇したりすれば、
誰も意見は言ってくれなくなる。

人間は言っていることではなく、
やっていることをみているのだ。」(P76~77)

助手
とはいっても、建設的な意見なんてほとんど出ないのが、世の常ですけどね。
SNSなどは、その最たるものでしょうけど。
博士
そのあたりのお話は、改めて考えます。

状況に応じて、リーダーシップを変える

博士
あとは、状況が変わったら、リーダーとかその役割、権限を変えることも、必要になるだろう。

組織立ち上げの時には有効だったリーダーも、組織の安定期になると、向かなくなることも多いので。

助手
それができれば、苦労はしないと思いますけど……

苦労して組織を立ち上げた(作り上げた)リーダーが、そう簡単に、自分の組織を手放すと思います?

博士
そうなんだけどね(笑)

まぁ、そのリーダーに「価値の原理」が浸透していれば、まだその可能性はある、ということで。

助手
まぁ、組織立ち上げ期から、組織全体に「価値の原理」が浸透していれば、

たとえリーダーが自分の地位に固執しても、ひょっとしたら、「主君押込」ができるかもしれませんね。

確率は非常に低いですが。

博士
あとは、リーダーが猪突猛進タイプで、ナンバー2がマネジメント役、というパターンも、ありがちなんだけど、

組織の安定期に、ナンバー2をそのままスライドさせても、うまくいくかといえば、微妙なことが多い。

助手
やっぱり、ナンバー2は、リーダーがいてこそのナンバー2であることが多いですよね。
博士
西條先生は、この点について、

「状況と目的を踏まえ、ステージごとに
リーダーシップをとるべき人を柔軟にシフトしていくことは、

硬直した組織ではなく、
しなやかなチームだからこそできる
有効な方法なのだ」(P79)

博士
…とまとめています。
助手
たいていは「柔軟にシフトしていく」ことはできないんですけどね。どこかで、血と涙が流された結果、シフトがなされる。

それでも、シフトできればそれは大変幸運なことで、ほとんど、シフトすらできずに終わる。

博士
組織はすぐにしなやかさを失って、腰や関節などが硬直してしまう、ってところですかね……

<まとめ>

・リーダーは自分で自分を変えることはきわめて難しい
・バイアスにとらわれていると、戦略戦術をきちんと立てても、
「正しく間違える」
・「メンター」や「感性の合う組織内の人」といった「他者」を通して、
自分のバイアスを確認、是正する
・他者の意見を求めながら、無下にスルー、冷遇しない
・状況の変化に応じて、リーダーシップをとるべき人を変える

Comments

comments

Pocket

「社会起業電脳研究室」無料メルマガ

上記の記事を、ホームページに更新されるより前に、 読みたくないですか? そんなせっかち(もしくは奇特な?)アナタに、 「社会起業電脳研究室」メルマガはオススメです。