『チームの力』から考える組織運営 -12- ~前例主義の「絶対大丈夫なのか」の壁を超えられるか~

「すきより」新シリーズ、「『チームの力』から考える組織運営」編。

第10回からは、「方法の原理」についてふれます。
第12回では、「方法の原理」で前例主義を超えるのは、究極的には「価値の原理」が組織に浸透していないと無理なのでは、という点について触れます。

これまでの「すきより」シリーズと同様、
博士と助手ちゃんによる、対話形式で行います。

前例主義になるのは、組織が減点主義だから

博士
今回は、前例主義について。
助手
まぁ、状況が変わったのに、同じ手段(前例)を踏襲しても、成果は出ないですよね。

そこは、「価値の原理」に立ち返って、目的を達成できないのであれば、前例を変えよう、でいいんじゃないですか?

博士
助手君にしては、えらく前向きというか、能天気な回答だね(笑)
「前例主義をやめられるくらいなら苦労しない」くらい言ってほしいものだけど。
助手
私って、そんなシニカルなキャラになってるんですかぁ!

もっと、素直なおバカキャラで通ってると思ってたんですがぁ!

博士
今までの言動を振り返ってみたまえよ(笑)
助手
ま、それはともかく、

組織の究極の目的は「自分たちが生き残ること」だから、前例主義ってのは、その究極の目的に沿ってる、んでしょうね。
前例主義でいた方が組織で生き残れるから、前例主義なわけで。

博士
そうこなくっちゃ、助手君らしくない。

要は、組織が減点主義であれば、前例主義でいた方が、責任を回避するインセンティブになる

たとえ失敗しても「前例通りやってたんですが」と言えるからね。

助手
前例主義の対応策は、リーダーならある種簡単で、減点主義から加点主義に変えればいい、ということになる。

多少失敗しても、目的に沿った成果を出した方が偉い。そういう組織になれば、前例主義は減少する。

博士
『チームの力』では、広島県の湯崎知事は、加点主義を重視するリーダーだ、という話が出てましたね。
助手
一般的には、そうした従来のやり方を変える変革型リーダーは、下がついてこないか、最悪押込されるもんなんですがね。
広島県職員が偉かった、というのももちろんあるのでしょうが、それだけではないはず。
博士
その点、湯崎知事は、たぶん穏当に改革を進めたんだと思う。

まぁ、それでも、具体的に加点主義に変える組織改革は、評価制度をどうするかといった絡みもあるので、相当専門的で、かつ難しかったとは思うのですが。

助手
まぁ、行政の場合だと、市民意識では「サービスして当たり前で、不具合があればつるし上げる」ので、

防衛意識として責任回避バイアスが働くのは、十分理解できるのですがね……

絶対性を織り込んだ問い、ナイーブな批判をいかにして退けるか

助手
ただ、上から組織を改革できる立場にいる人は、そう多くはない。

ヒラの社員などは、どうしようもない?

博士
その場合は、上司に対して、

「このまま前例を踏襲していたら、かえって責任問題になりますよ」

と言うしかないだろうね。

助手
いやいやいや! そんなん、うまくいくわけがないじゃないですか!

私が上司の立場だったら、こう言い返してやりますよ。

  ・これは、君の単なる思い付きだろう
・(データを示しても)そのデータが本当である保証はどこにある
・君の提案が絶対うまくいく、という保証はあるのかい?

助手
……で、最後に、「答えられないなら、前例維持」。これで決まり。
博士
西條先生は、「絶対にうまくいくのか」といった、絶対性を織り込んだ問いは、行動を抑制する問いだと指摘します。対抗策としては、

「状況と目的に照らし合わせれば、この方法がよいと考えますが、
それよりももっと良い方法があれば、ご教授願えますか?」

博士
といった問い返しをするしかない、と指摘します。
助手
要は「代案なきナイーブな批判は認めない」ということですよね?

討論ではよくあるお話ですが、実際はなかなか守られないですがね。特に、ネット上での議論ではほとんど守られていない。

第一、さっきの問い返しにしたって、

「別によい方法はないし、根拠は示せないけど、
これまでもずっとそうやってきたんだから現状維持が一番」

助手
なんて言われると、どうしようもない。
博士
結局は、目的についての「価値の原理」および、「方法の原理」が組織に浸透していないと、限界があることは間違いないのだろうね。
助手
だから最初に言ったじゃないですかぁ。「価値の原理」に立ち返れ、って。

逆を言えば、立ち返る価値がないのであれば、
前例主義を打破するなんて、どだい無理ってことですよ♪

博士
結局、シニカルなオチかい!

<まとめ>

・前例主義になるのは、組織が減点主義だから
・リーダーであれば、加点主義を目指せば前例主義は減少する
・ヒラ社員であれば、上司に「前例を続けることが責任問題になりますよ」と説得する
・「絶対に」という、「絶対性を織り込んだ問い」は行動を抑制するので、
極力受け流す
・「状況と目的に照らし合わせれば、この方法がよい」という、建設的な議論を促し、
ナイーブな反論は認めないことを、あらかじめ組織に共有する

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