『チームの力』から考える組織運営 -11- ~サンクコストは過去をベースにした意思決定~

「すきより」新シリーズ、「『チームの力』から考える組織運営」編。

第10回からは、「方法の原理」についてふれます。
第11回では、「方法の原理」を意識しないと、サンクコストを超えることは非常に難しい、という点について触れます。

これまでの「すきより」シリーズと同様、
博士と助手ちゃんによる、対話形式で行います。

サンクコストによる過去の成功体験の絶対化

博士
ここからは、方法の原理をより見失わせやすい要因の一つである、
「埋没コスト」について考えていきたい。
助手
「埋没コスト」というか、よく「サンクコスト」と呼ばれるものですよね。

サンクコストってのは、もう使っちゃって返ってこない時間やモノ、カネのことですよね?

どうあがいても返ってこないんだから、これからの意思決定にサンクコストを加えちゃダメなんだけど、
サンクコストが「もったいない」心理などで影響を与えてしまう。

博士
西條先生も「時間に伴いサンクコストは増大する」と書いています。

原理的には、早期に損切り(ロスカット)しないといけないのだけど、ずるずるといってしまう。
ギャンブルで「負けを取り戻そう」とするのは、典型的といえる。

助手
ただ、サンクコストの問題って、「人命」がからむと、判断がものすごく難しくなりますよね。

典型的なのは戦争。
作戦が失敗だったとわかっても、それまでに失われた人命を、サンクコストで損切り扱いするのは、リーダーにものすごく厳しい判断になる。

博士
それはもちろんそうなのだけど、別に人命とまでいかなくても、サンクコストの錯覚を超えた判断は、ものすごく難しい。

西條先生は、そのことを、方法の原理との関連で考えています。

助手
というと?
博士
方法の原理は、

「特定の状況において使われる、目的を達成するための手段」

しかし、状況が変わったにもかかわらず、過去に成功した手段、方法にとらわれて突っ走ってしまう。

西條先生はこれを「方法の絶対化」と呼んでいます。

助手
過去の成功体験がサンクコストになってるわけですね。

で、往々にして、過去の成功体験は、自分の人生の栄光になっているから、
それを「損切り」されたら、自分の人生そのものを「損切り」される感覚になる。

そりゃ、サンクコストにとらわれますよね。

博士
加えて、リーダーだけでなくて、
真面目な人ほど、組織で教え込まれた手段を守ることを目的にしがち。(方法の自己目的化)

だから、まじめな人が多い組織では、過去の手段がアイデンティティになっていると、なかなかそれを変えられない。

助手
「バカで真面目な人をチームに入れるな」的な話は、よく聞かれますが、
一つの理由には、こうした理由もあるのでしょうね。

サンクコストは過去をベースにした意思決定

博士
問題なのは、サンクコストにとらわれるとなぜよくないのかといえば、西條先生曰く、

  「埋没コストがそれまで費やしてきた時間、労力、資金といった
“過去”をベースにした意思決定であるためだ」(P119)

  「方法の原理とは、状況と目的、つまり”現在”の状況と
目指すべき”未来”を基点とした意思決定にほかならない。
つまり、埋没コストによる意思決定は逆ベクトルの考え方なのだ」(P119)

助手
それは間違いないのでしょうが、サンクコスト問題は結局感情問題なんだから、

それを指摘し、かつ是正できるリーダーとかって、よほどの大物か、感情のわからない人のどちらかだと思いますけどね?

あぁ、だから経営者にはサイコパスが多いのかぁ。

   ”「経営者には“サイコパス”が多い」不都合な真実”より
http://president.jp/articles/-/19916

博士
サイコパスの長所は、

「冷静で感情を抑制できる」
「今の瞬間に集中できる」
「勇敢で恐怖を感じない」
「不安や抑鬱など逆境に強い」
「口が達者で説得力がある」

らしいしねぇ……

確かに、サンクコストを超えた意思決定をするにはもってこい、といえるね。

助手
最近はやりの進化心理学とかの観点で考えると、
結局、究極のサンクコスト問題はやっぱり戦争なわけで、

戦争が多いければ多いほど、「サンクコストを超えられるリーダー=サイコパス」が求められ、遺伝子レベルで、それが伝わっているのかもしれませんね。

そう考えると、欧米でその他の地域よりサイコパス気質者の割合が多いのは、偶然ではないのでしょうねぇ。

その点、日本でサンクコスト問題を超えるのは、欧米よりも難しいのかも……

博士
西條先生は、サンクコストを超える方法については、

いろんな人が道筋をたどっても、「論理的にはそう考えるほかない」といえる、論理を前面に押し出すのが一つの方法だ、と言ってますが、

どうせ、助手君は、そんなの納得しないでしょ?

助手
わかってるじゃないですかぁ(笑)

理性は感情の奴隷なんだから、論理なんて、後付けでどうだって変えられる。

博士
「後付けで意味を変える」といえば、
西條先生も「出来事の意味は後付けで決まる」と言っています。

西條先生は、だから、失敗があっても、「あの失敗があったから、この結果を残せたんだ」と言えればいいのであって、
サンクコストにとらわれてずるずるいくよりは、そのほうがいいのだと言ってます。

助手
なんか、一種の言い訳っぽいですが、要は、そういって未来に目を向けよう、ってわけですよね?
博士
そう、その通り!

<まとめ>

・サンクコストは状況が変わったのに過去の手段に固執させやすい
・サンクコストは過去をベースにした意思決定
・方法の原理は現在と未来をベースにした意思決定
・出来事の意味は後付けで決まるので、
サンクコストにとらわれるよりは
「あの失敗があったから、現在がある」と言えるよう、
未来に視野を向けた意思決定をした方がはるかにマシ

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