『世界を変える偉大なNPOの条件』-15-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則4:NPOのネットワークを育てる」について、
ネットワークの難しさをとりあげます。

ネットワークづくりの旗振り役は、本業との兼ね合いで苦しむ

NPOネットワークの難しさを考える上で、一つの視点は、

「単にネットワークをつくるのはめんどくさい」

めんどくさいというより、

ネットワークを作る過程で、
 自分たちの本業がおろそかになる。

資料でも、その点が指摘されています。

以前も取り上げたシティイヤーでは、
連携を重視する過程で、自分たちの活動が停滞し、
財政支援が減らされて、
存続そのものが危うくなっています。

ぶっちゃけ、NPO業界で、
 「ネットワークが大事だよね」と言いながら、
 実際のところ何も進まない理由の最たる点はコレですよね。

この点で、よく、

「ネットワークづくりは、
NPOセンターとかの中間支援組織の役目だ」

という言い方がされます。

「NPOセンターさんが知恵を絞って、
 効果的なネットワークを作って下さいよ。
 自分たちは、できる範囲で協力しますから。」

これは、多くのNPO業界人が考えていることでは?

しかし、資料の事例で面白いのは、
ネットワーク作りの事例で中間支援組織が出てこないこと。
(出てこないだけで、何らかの支援はしてるんでしょうが、
ネットワーク作りの旗振り役をやっていないようですね)

あくまで、社会課題に直接取り組む当事者のNPOが、
 その戦略実現のために、
 たとえ一時的には自分の事業が苦しくなっても、
 長期的利益を取って、ネットワークの旗振り役を担っている。

「社会に大きな影響を与えることは、
 自己の利益を捨てることを意味することもあると彼らは考えている。
 そして、より偉大な善の力となるために、
 信用も権限も分かち合う。」

また、たとえ自分の団体が目立たなくても、
黒子役に徹して、後方支援することもある。

「とどのつまり、自分たちの名前を新聞に載せることではなくて、
 変化を起こすことが大事だ」

独自の道(一匹狼)でいく場合

NPOネットワークの難しさを考える上で、もう一つの視点は、

「独自の道を行く必要がある場合」

独自の道を行く、というのは、
既存団体とのネットワークが、
社会課題解決に全く役立たない、あるいはマイナスになると、
その団体が判断した場合。

「時には、ある分野を築くというよりは、
 むしろその分野を混乱させたり、変革したりしようとする。
 あるいは、すでに活発なNPOがひしめく分野で活動することもある。」

具体的には、以下のケースになります。

(1)既存の団体のやり方が古い、効果的でない

以前もとりあげた、
エンバイロメンタル・ディフェンスがその好例です。

既存の環境団体は、とにかく「企業=悪」の立場で、
常に企業を監視し、「ろくでなしを訴える」やり方で、
環境保護をしようとしていました。

そこに、エンバイロメンタル・ディフェンスが、

「そのやり方じゃなくて、企業と連携したほうが、
結果的に環境保護に役立つよ」

なんて言い出して活動を始めたもんだから、
既存の環境団体は大激怒。
結局、他の環境NPOと袂を分かつはめに。

ま、既存の環境団体からすれば、
心の底から「裏切られた」という気持ちだったでしょうね。
当時、今のようにホームページやブログがあったら、
エンバイロメンタル・ディフェンスのサイトは大炎上間違いなし。

今の私たちが実感しやすいように置き換えれば、
「東電=悪」とかいって活動していた反原発団体のなかから、

「そうではなくて、東電と連携していくほうが、
より効果的に原発をなくせるのではないか」

と言い出す人が出てきたら、
間違いなく、その人はフルボッコでしょう。

このケースのように、
既存の活動が、とりわけ「怒り」を原点に活動していればいるほど、
「敵と連携して…」なんてことができにくくなる。

(2)既存団体が既得権化している

資料で挙がっている好例は、ティーチ・フォー・アメリカ。

ティーチ・フォー・アメリカは、
強力な教職員組合などの既得権力を揺さぶることを追求しています。

日本の場合だと、フローレンスなんかが、
この事例の好例になるでしょう。

保育業界全体から見れば、フローレンスなんて、
鼻つまみ者以外の何者でもない。
現時点では、この場合でNPO法人が既得権化して、
社会課題解決のための妨げになっているケースは、
寡聞にして聞きません。
というより、既得権化するだけの勢力がない。

ただ、将来はそうした事例も起こりうる。

そうなったときに、NPOネットワークが、
 単なるカルテルと堕す可能性だってある。

しかし、エンバイロメンタル・ディフェンスや、
ティーチ・フォー・アメリカの事例を見てもわかるように、
そうなったときに、既存の役立たないネットワークを変革する力も、
またNPOが担いうる可能性を持っている。

(3)異なる分野(とりわけ宗教)との連携

事例として挙がっているのはハビタット。
貧困者層向けに、安価な住宅を自分で作って提供するNPOです。

ハビタットは、同様の活動をしている団体とは、
基本的には提携していません。

実は、ハビタットの主眼は、
住宅を建てること自体にあるのではなく、
信仰を土台としたコミュニティ、ネットワークづくり。

いわば、特定の宗派ではないというだけで、
宗教活動の一環といってもいい。

そんなわけで、安価な住宅を提供する他団体と、
ハビタットの間には、宗教という壁がある。

日本では、一層この壁を取っ払うのは大変ですね。

次回は、ネットワーク型組織の特徴だとか、
まとめとなる話をします。

 

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