『世界を変える偉大なNPOの条件』-14-

しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則4:NPOのネットワークを育てる」について、

NPOのネットワークを育てる以下の4つのうち、
(2)以降を取り上げます。

(1)パイを大きくする
(2)知識を共有する
(3)リーダーを育てる
(4)連携する

知識、人材、権限や信用(名義)を分かち合う

まず「(2)知識を共有する」。
これは、分かりやすいですね。

「最適な方法をまとめた書籍や印刷物、
 オンライン資料なども準備して知識を分かち合う。

 また、各地の関係組織を会議などに積極的に招き、
 訓練やワークショップ・コンサルティングまで行っている。」

 情報を共有し、
 スキルレベルを高いレベルで平準化したほうが、
 本当に大切なこと(社会課題の解決)に集中できる。

「彼らは情報を独り占めにせず、
 『競争を成功させる』ために提供する」

一般企業だって、業種単位では、
結構情報交換はやってますしね。

「(3)リーダーを育てる」は、
個人的には、そんなにピンときませんでした。

資料では、事例として、
ティーチ・フォー・アメリカがあげられています。

ティーチ・フォー・アメリカの活動に参加した人材が、
NPOのリーダーになっていくケースもあり、
そこから交流が広がる。

ただ、これは「熱烈な支持者を育てる」事例と、
同じような内容であるように感じました。

「これらのNPOは才能を囲い込まず、
同じ分野のNPO全体で共有する。」

資料で言いたいことは、わかるのですがね。

将来的には、もっとNPO業界が労働市場として成熟してくれば、
業界内の人材の流動性も活発になるのかな、という、
そんな期待もあるのですが。

「(4)連携する」は、
言葉だけだと、よくわからないですね。

ここで述べられているのは、
ネットワークの過程で、他の団体に対して、
権限や信用を分かち合うことについて。

一種の名義貸しに近いですかね。

P-SONICも、2009年に広島担当として参加した
「社会起業支援サミット」は、この例といえるでしょう。

「社会起業支援サミット」の場合、
本も出版した、今一生氏が呼びかけ人となった事で、
その信用を分かち合う形になってます。
(少なくとも、P-SONICが呼びかけ人になるよりは信用があるでしょ?)

名義をどう貸すかによって、
自分が主役に立つか、脇役として名義貸し(とサポート)に徹するか、
そうした方向性の違いが出てきます。

「こういったNPOは、連携を主導する役割を担うこともあれば、
 他の組織の後方にまわって支えることもある。」

ヘリテージ財団の事例

NPOのネットワークを育てる(1)~(4)を実践するとは、
具体的にどういうことが、そして何が起こるかについて、
個人的にわかりやすいと思うのが、
ヘリテージ財団の事例。

「資金や知識、リーダーシップ、
 信用力を共有することによって連携力が強化され、
 いかに大きなうねりを起こす準備が整うかということを、
 ヘリテージ財団が証明している。」

ヘリテージ財団は、シンクタンクの分野では有名です。
なんといっても、ロナルド・レーガンによる政権奪取、
および彼の大統領就任後の政策に影響を与えたことで知られています。
典型的な保守派財団といえますね。

歴史的に名高いレーガノミクスに影響を与えた、ヘリテージ財団。
ここまでの影響力を発揮するにいたった背景には、
ネットワークを育てる戦略を実行していった点がある、というのが、
資料の見立てです。

以下、資料より参照。

・財団が主催する法案分析のワークショップに参加したり、
マーケティングや資金調達の支援を受けたりすることも可能だ。
ヘリテージ財団はこういった援助を、
希望するほぼすべての保守支持者に対して無償で提供している。

・別の保守系団体を作ろうとした人に、
地元州の寄付者を紹介したり、
地元州でのヘリテージ財団への寄付者名簿を見せてくれた。

・保守仲間が意見を発信することも手伝う。
(ヘリテージ財団では独自に2つのラジオ局があり、
保守仲間なら無償で利用できる)

・コミュニケーションの技術から政策立案やアドボカシーにいたるまで、
あらゆる訓練もヘリテージ財団が提供している。

・次世代の保守派リーダーの育成を助けている。
評判の高い有給インターンシップでは、
ワシントンDCでの住まいも提供し、
学生が将来、財界や他の保守系組織で活躍できるよう訓練する。

……ネットワークを育てる戦略が、全て網羅されていますね。
ただ、別にヘリテージ財団は慈善を施しているわけではなく、
要は、保守派の影響力を広げるために、様々な手を打っているだけ。

「寛大だとはいえ、ヘリテージ財団の協力的手法は利他的なものではない。
 これは、自分の組織の目標を実現するための戦略である。」

次回は、ネットワークを作る大変さとか、
一匹狼でいることも時には重要になるよね、とか、
そんな話をします。

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