『世界を変える偉大なNPOの条件』-12-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回からは、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則4:NPOのネットワークを育てる」をとりあげます。

偉大なNPOは「積極的にパクらせる」

偉大なNPOは、単独で活動するより、
様々な利害関係者(ステークホルダー)を巻き込んで活動するのを好む。

「こういったNPOは、他の組織と一緒に、
 あるいは他の組織を通じて活動することによって、
 単独で活動するよりはるかに大きな影響力を持つ」

具体的に言えば、自分たちが持つ知識や技術などを、
オープンソース化して、関連するNPOたちと共有する。

「彼らが、資金や専門技術、リーダーシップ、権限、功績や信用などを、
 志の近い仲間と共有することに
 膨大な時間とエネルギーを使っていることに驚く。」

「彼らは、自分たちの城を築いたり、資金を貯めこんだりすることはない。
 逆に、知識や資源をどんどん他に与えて影響力を高める」

一言でいえば、自分たちのやっていることを、
 積極的にパクってもらう。
多くの人がパクればパクるほど、
その分だけ、効果が高まっていく。

まさしく、レバレッジ効果ですね。

資料の事例以外でいえば、
「カブーム!(Kaboom!)」なんかは、その典型といえるでしょう。

“「公園造り」で全米2000以上の地域コミュニティを再生した非営利団体がある!”
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33324

偉大なNPOのネットワーク志向の恐るべき側面?

でも、フツーの組織体はそんなことしないですよね。
NPOだって、普通のNPOは、自分の団体のことを第一に考えます。

「ほとんどのNPOには、たとえほかの組織を犠牲にしても
 自分の組織の構築にこだわる『組織志向』がある。

 彼らはニーズに応えるために活動計画を作り、
 活動を積み重ねて組織を成長させ、影響力を拡大する。

 この方法は、確かに影響力を高めることにはなるが、
 社会変革を起こすうえで、最速でも最短の道筋でもない。」

組織志向のキモは、「競争」
営利企業はその典型ですよね。

さて、ここまで書くと、

「やっぱり、偉大なNPOは、競争のない社会を目指そうとしているんだ!」

的な、なんかお花畑的なイメージがあります。

とんでもない。
偉大なNPOの採用する戦略は、
ある意味で恐ろしい戦略のようにとらえられかねません。

順を追って説明します。

まず、やっぱり「競争」というのは、自然な状態です。
資料にも、

「政府か産業界か社会セクターかにかかわらず、
 あらゆる人間の活動には結局のところ『競争』が自然な形である。」

と記載しています。

だからこそ、短期的には、協力し合うよりも競争しあった方が、
有利な結果を得られる。

「長い目で見れば、競走より協力のほうがよい戦略であるが、
 必ずしも組織の短期的利益に結びつくわけではない、
 と専門家も指摘している。」

では、なぜ偉大なNPOは、
競争ではなく、協力し合おうとするのか?

答えは簡単。
その方が、手っ取り早く社会課題を解決できるから。

さて、「手っ取り早く社会課題を解決できる」を、
「手っ取り早く市場を独占できる」に置き換えると、
偉大なNPOの採用するネットワーク戦略は、
恐ろしい側面があることがわかります。

恐ろしい側面を一言で言えば…

それって、カルテルやトラストじゃね?

偉大なNPOのネットワークは、なんちゃってカルテル・トラストですらない

偉大なNPOのネットワーク戦略を、カルテル・トラストという側面でとらえると、
資料にある、

「ネットワーク重視の考え方は、一見、寛容で利他的に見えるが、
 実際には、正しい知識をもとに自己利益を追求しているというほうが、
 表現としては適切である。」

という記載も、妙にしっくりきませんか?
…ま、もちろん、偉大なNPOのネットワーク戦略は、
厳密にはカルテルでもトラストでもありません。

カルテルのポイントは、

・事業者がほかの事業者と共同して、

・値段や数量や技術や取引先を制限するなど、
お互いに事業活動の自由を拘束することによって、

・公共の利益に反して、市場での競争を実質的に制限すること

「事業者がほかの事業者と共同」してはいますが、
「値段や数量や技術や取引先を制限」したり、
「お互いに事業活動の自由を拘束」してはいません。

“カルテルはなぜ悪いか”
http://www17.ocn.ne.jp/~tadhomma/ProCartel02.htm

まして、トラストとなると、
各事業者の法的・経済的な独立性はほとんど失われるわけで、
そんなことはありませんよね。
ただ、「互いに競争しあうよりも、協力し合って社会課題市場のシェア独占をはかる」
というのは、なんちゃってカルテル・トラストっぽく映る。

ですが、偉大なNPOのネットワークは、
なんちゃってカルテル・トラストですらない。
次回以降、NPOのネットワークを育てる方法について見ながら、
なんちゃってカルテル・トラストについても、
折に触れて考えたいと思います。

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