『世界を変える偉大なNPOの条件』-11-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は前回に続いて、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則3:熱烈な支持者を育てる」をとりあげます。

今回は、「原則3:熱烈な支持者を育てる」についての、
そもそも論的な話をします。

「熱烈な支持者を育てる」苦労とリスクは並大抵ではない

ここまで、「熱烈な支持者を育てる」意義と方法について、
何回かに分けて取り上げてきました。

でも、ぶっちゃけ、
これってめんどくさくないですか?

だって、人を育てるのは、
本当に効果が出るか、なかなか実感しづらい。
しかも、一定以上の時間を必要とする。

企業だって、今は、

「自分の会社で長期的に一から育て上げる」よりも、
「能力のある即戦力を集める」やり方に、
シフトしているではないですか。

もちろん、即戦力をゲットする戦略から考えても、
スーパーエバンジェリストを囲い込むのは、正しいやり方です。
これなら、たとえ時間等の投資をかけても、
リターンが大きいですよね。

ただ、能力のあるかわからない有象無象に対して、
丁寧に団体の価値観を提唱し、
体験の場を設けてあげることが、
本当に、社会課題解決の早道なのか?

現実には、支持者を増やそうと働きかける団体に対して、
以下のような負担が待ち受けています。

A.団体の価値観が理解されない

・「何理想掲げてんの? 現実を見ろよ」と馬鹿にされる。

・団体の価値観がラディカルなものであればあるほど、
その分だけ敵を作ることになる。
(たとえば「解雇規制を緩和しよう」とかね)

B.「俺を巻き込むな」といわれる

・団体の価値観はいいと思うけど、俺には関係ない
支持も支援も一切しない

・よそでやってくれ、といわれる

C.「じゃあ、俺を救ってくれよ」といわれる

・よその貧困を解決する前に、俺の貧困を解決してくれ
・俺に何の得がある? 心の充足感じゃメシは食えないよ。

……などなど、実際に言われるか、
心でそう思って、顔では笑顔で断られるか。

まぁ、ある種営業職の気苦労を、
引き受けなければいけないわけです。

要は、A~Cの観点で言えば、
支持者を育てる活動は、
たいていは無駄骨で終わるわけですが、
無駄骨で終われば、まだいい。

こんな状況だって、ありえます。

D.クレーマーに変化する

ちょっと団体の活動に感化を受けて、
団体の活動に片足を突っ込む。

そのあと、何らかの原因
(たいてい組織内の人間関係のもつれ)で、
組織の足を引っ張るクレーマーに変化する。

たとえば…

・組織のネガティブキャンペーンを貼る
(多くの人は「元メンバーのネガティブキャンペーン」に、
非常に影響されます)

・機密情報、個人情報が漏洩する

…これは、別にNPOであろうとなかろうと、
組織に関わる人間が増えれば増えるほど、
起こりうる問題ではあります。

要は、「人が増えれば増えるほど、余計なエネルギーがかかる」

資料でも、「熱烈な支持者を育てる」苦労を、
正直に記載しています。

「人々に体験の機会を与え、エバンジェリストとして育て、
 そうした人々のコミュニティを維持するという戦略の実行は、
 それほど容易ではない。

 他の人々を巻き込まずにやるのに比べて、
 多くの時間とエネルギーと初期投資が必要になる。

 しかも、その戦略は効果があるのか、
 あるとしても、いつその効果が生まれるのかがはっきりしない。」

正直、「自分たちは社会を変えるんだ!」という、
高い、強い使命感がない場合、
人を巻き込む戦略は、最小限にとどめておいたほうがいい。

自分たちのやれる範囲で、やれることをやったって、
それが悪いわけではないのですから。

○社会を変える弱者の戦略は点・線・面

しかし、もし、あなたが本当に、
「自分たちは社会を変えるんだ!」と思うのであれば、

「熱烈な支持者を育てる」戦略は、
たとえ消耗戦になろうとも、避けては通れない。

「しかし、このやり方が、
 最後には社会変革の大きな『てこ』の働きをすると
 信じて実行するのである。」

前にも書きましたが、改めて資料を参照に、
「熱烈な支持者を育てる」戦略の意義を記します。

「市民一人一人との関わりに対し、
 初期のうちに小さな投資をすると、
 はるかに大きな効果が生まれることが多いのだ。」

「個人へのささやかな働きかけにより、
 多様で持続的な寄付者の基盤が生まれ、経費も減る。」

「支持者を投票行動へと動かし、企業をボイコットしたり、
 逆に支援したりすることもできる。
 また、大義のために個人の力、影響力、
 社会的なネットワークを利用することができるのだ。」

さて、「熱烈な支持者を育てる」戦略を、
シティイヤーでは、「さざ波」と表現しています。

「シティイヤーでは、一つの行動が、
 グループ、近隣の人々、地域社会、
 そして国や世界と際限なく広がり、
 社会を変えていく様子を『さざ波』と呼ぶ。」

「さざ波」とは、実に情緒的な表現であり、
共感を得やすい表現ですね。

ただ、こうした情緒的な表現が、
ビジネスマンに響くとは思えないので、
ビジネスマンに響くよう言い換えれば、

これは、ランチェスター戦略の、
点・線・面の考え方に近い。

まずは一人の個人でいいから、熱烈な支持者を育てる。
それをグループ、自分の地域に拡大し、
地域での基盤ができたら、別の箇所で行動を実施。
それをつなげていく。

いまや、偉大なNPOといわれる組織は、
「強者」といってもいい。

ただ、偉大なNPOになるまでの道は、
まさに弱者が基盤を切り開いていく道。

その意味で、基本弱者であるNPOが、
弱者が強者に勝つためのランチェスター戦略を学ぶ意義は、
少なくないのでしょう。

次回からは「原則4:NPOのネットワークを育てる」を、
とりあげていきます。

 

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