『世界を変える偉大なNPOの条件』-10-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は前回に続いて、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則3:熱烈な支持者を育てる」をとりあげます。

前回は、外部の人をエバンジェリストに変えていくための、
「参加意識を高める4つの法則」、

(1)組織の使命や目標、価値観を伝える
(2)意義のある体験を生み出す
(3)エバンジェリストを育てる
(4)愛されるコミュニティを築く

このうち、(3)までを取り上げました。
今回は(4)を取り上げます。

日本人が築きやすいコミュニティは「県民コミュニティ」

「参加意識を高める4つの法則」のうち、
(1)~(3)までができると、
コミュニティ自体は自然発生的に起きやすい。

「NPOの示す価値が人々を刺激し、感動的な体験を与え、
 エバンジェリストに変えてしまうと、
 次は、こういった人たちがどんどん増えて、
 ひとつのコミュニティとなり、
 社会的ネットワークを築くことができる。」

NPOのコミュニティ以外で、
(1)~(3)までが強固に行われていて、
その結果、自然と強固なコミュニティができる典型は、
宗教コミュニティですね。

また、Facebookやmixiなどでは、
趣味を中心としたコミュニティが盛り上がったりしています。
ただ、そこまで盛り上がる趣味を持っていない人も多いし、
まして、自覚的に宗教コミュニティに加盟している人は、
なおのこと少ないでしょう。

その意味で、日本人にとっては、
NPOのコミュニティとか趣味コミュニティ、
ましては宗教コミュニティと言っても、
実感できない人が多いので、
今回の話は自分ごととして、ピンときにくいかもしれない。

ただ、大半の日本人には確実にピンとくるコミュニティがあります。
それは「○○県民コミュニティ」。

例えば、都心の大学とか、ある程度の規模の大学になると、
必ずといっていいほど「○○県人会」というグループがありますよね。

それ以前に、県民ショー、人気じゃないですか。

そのため、愛されるコミュニティについての資料の記載は、
県民コミュニティとの関連で考えることにします。
そのほうが、資料で言いたいことが伝わりやすいと思うので。

日本のNPOは、組織力が県境を越えにくい

まず、コミュニティについて、資料での偉大なNPOについての記載。

「偉大なNPOは、地域の拠点か支部か、
 あるいは連携するほかの組織かにかかわらず、
 自分たちの組織力を一つの仕組みとして最大限に活用し、
 より多くの市民に活動への参加を促す。

 その見返りとして、彼らは、NPOとその大義を取り巻く、
 さまざまな結びつきのネットワークと
 大きなコミュニティをつくり出す。」

この記載をぱっと見ても、ふつうは、

「ふ~ん、やっぱり偉大なNPOってすごいね~」

くらいにしか思いませんよね?
なんか、自分の実感とは別世界の話になってしまう。

また、この箇所は、県民コミュニティの文脈で考えても、

「まぁ、ふつう、NPOって地域で活動してて、
 国境は越えても、県境を越える活動をしてる団体って少ないよね~」

となりますよね(東京は例外)。
その点で、日本のNPOでは、
たいていネットワークとかコミュニティの話となると、
できて地域や県単位であるし、

大きなネットワークとなると
「それは東京もんがやればいい」なんてことになって、
なかなか意識が県境、地元を越えない。

その点で、個人的には、
どこに行っても自分たちの価値観(?)を変えない、
大阪文化圏の中から、
地域を超えたネットワークが出てくることを、
少し期待しているのです。

ま、これは半ば冗談で、
地方発NPOでも、広島ではコーチズのように、
県境を越えて問題解決のために、

「さまざまな結びつきのネットワークと大きなコミュニティ」
を作り出している団体も、もちろんあります。

http://www.npo-coaches.org/

顔を合わせないとコミュニティは消えていく

さて、コミュニティは自然発生的に生じやすいと書きましたが、
これを持続させるのは、なかなかどうして骨が折れます。

SNS上の趣味コミュニティだって、
浮かんでは消え、浮かんでは消えの泡沫コミュニティであることが、
ほとんどでしょう。

大学とかの「○○県人会」だって、
油断していると無人サークルになりがち。

その点で、宗教コミュニティも、
一見すると、自然に強固なコミュニティができると思いがちですが、
そんなわけありません。

皆さんも、実家ではたいて仏教徒ですが、
葬式のときにお世話になるくらいですよね?

キリスト教だって、ほとんどの人は、
日曜日には礼拝に参加するサンデークリスチャン。

(余談ですが、自然に強固なコミュニティができていくケースがあります。
それは「迫害されたとき」。
とりわけ、宗教コミュニティはそうですね。

だから、みんながイスラム教やユダヤ教に偏見を持てば持つほど、
そうしたコミュニティはより強固になるのです)

そんなわけで、偉大なNPOは、
 発生したコミュニティの維持に時間と努力を注ぎます。

ここで注目すべきは、
偉大なNPOは、ITに依存しないように注意を払っている、という点。

「ITは万能薬ではない。ウェブサイトや電子メールは、
 つながるための重要な道具ではあるが、
 実際に顔を合わせる機会もつくらなくてはならない。

 積極的に関わり続けるためには、
 コミュニティの一人一人が、
 心でも、経験でもつながっている必要がある。」

「多くの偉大なNPOは、活動に直接参加する機会を提供するだけでなく、
 多様な関係者が一堂に会する方法として、
 年次大会や年中行事を利用している。」

趣味コミュニティでも、やっぱり長持ちしているところは、
オフ会とか、実際の体験会を重視していますよね。

県民コミュニティも、盆や正月、地域のイベントの際には、
欠かさず帰省(参加)するから強固になるのであって、
参加しないと、県民コミュニティも徐々に弱まっていきます。

私自身、子ども時代に長崎に長く住んでいたため、
お盆になると、良識ある市民が手に大量の爆竹を持って、
一箱セットで火をつけて投げまわしていた(※1)わけですが、

(※1)テロ活動ではなく、精霊流しのありふれた風景です。

仕事とかでお盆に帰省せずにすごしていると、

「良識ある市民が、
そんなテロ行為まがいのことをしちゃいかんよねぇ」

なんて思ってしまうところもありますしね。

これで、もし私が長崎県人会的な組織に所属していて、
メールとかで精霊流しレポートをもらったとしても、
時間がたつと感動が薄れるでしょうね。

大学生のボランティアグループは、同窓会を念頭に置いた活動を!

また、偉大なNPOは、活動経験者の同窓会を重要視します。

「一度参加した人は、活動を離れても、
 その組織から本当に離れていくわけではない。

 先頭に立つ人たちは、
 過去に参加した組織と似た大義をかかげて活動する
 新しい組織を作る。

 あるいは、産業界や行政の立場で、
 その組織を支援する強力なエバンジェリストとなる。」

「活動経験者はこのコミュニティの中心的存在であり、
 活動に積極的に参加しなくなった後でも、
 時間、資金、影響力を組織に与え続けている。」

もちろん、これは、
組織の価値観とその活動経験に、
賛同していることが前提ですけどね。

県民コミュニティは、この点でも強固ですね。
大学進学や就職とかで、ふるさとを離れても、
ふるさとから本当に離れていくわけではない。

さて、「活動経験者の同窓会」を
とりわけ最も強く意識しないといけないのは、
大学生のボランティア組織ですね。

基本的に、大学生のボランティア組織って、
注目はされますが、信頼はされません。
メンバーが、基本的には4年経ったら辞めるから。

その点で、いかに同窓会を強固にするかが問われます。
組織ができたてのころは、組織OB、OGなんていないので、
大学OB、OG、とりわけ対社会的に信頼されやすい肩書きのある人を、
いかに顧問とかそのへんの形で、組織に入れておくかが問われます。

しばらくすると、組織OB、OGができてくるので、
同窓会をどう組織するかを、
団体内できちんと考えておいたほうがいいです。

次回は、「原則3:熱烈な支持者を育てる」まとめです。

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