『世界を変える偉大なNPOの条件』-9-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は前回に続いて、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則3:熱烈な支持者を育てる」をとりあげます。

前回は、外部の人をエバンジェリストに変えていくための、
「参加意識を高める4つの法則」、

(1)組織の使命や目標、価値観を伝える
(2)意義のある体験を生み出す
(3)エバンジェリストを育てる
(4)愛されるコミュニティを築く

このうち、(2)を取り上げました。
今回は(3)を取り上げます。

今回のお話のポイントは、次の3つです。

・クチコミマーケティング
・「守り神」をどうやって味方につけるか
・「スーパーエバンジェリスト」について

「積極的に口コミマーケティング」を意識しない

これまでみたように、
「無意識レベルに訴求するメッセージ」に加え、
「メッセージを補強する(視点を変えさせる)体験」が提供できれば、

口コミレベルで活動が広がっていくことは、
十分予想できる内容です。

「こうした組織で有意義な体験をして、
 その影響力に納得した人は、
 その組織の大義を周囲に説いて回る可能性が高くなる。」

この傾向は、SNSの成熟に伴って、
一層加速していくことになります。

さて、こうした話を聞くと、
口コミマーケティング(バイラルマーケティング)を、
連想した方も多いのではないでしょうか。

なんて書くと、

「では、どうやって口コミを意図的に拡散させるか」

という方向に思いが行きがちですが、
個人的には、そこに意識を向けると失敗すると思っています。

資料でも、意図的に口コミを広げる手法とかは、
直接的には触れられていません。
(間接的には、「参加意識を高める4つの法則」を実践しよう、ということ)

「失敗する」というのは、最悪の場合、
組織に対するネガティブキャンペーンが始まる事を意味します。

NPOレベルでは、
 「積極的に口コミマーケティング」という意識よりも、
 「ネガティブキャンペーンを張られないようにしよう」という意識でいたほうが、
 結果的には、口コミマーケティングが進むのではないか。

そのためには……

・嘘をつかない
・誠実な姿勢を崩さない(他者を口汚く批判しない)

この2点を意識することなのではないかと、思うのです。

「…って、なに当たり前のこと言ってんの?」
とお思いの方もいるかもしれませんが、

「積極的に口コミマーケティング」という意識になればなるほど、
ともすると、嘘をつきたくなるのです。
サクラを雇ったりとか、なりすましでブログやSNSしたりとか…

また、組織の大義、サービスに感動すればするほど、
気をつけないと、類似団体をののしりがちになります。

メンバーや賛同者たちに、そうしないように訴える以上に大切なのは、
代表や中核スタッフが、誠実な姿勢を崩さないことですね。

twitterとかは、ともすると怒りをぶちまけてしまいがちになるので、
この点では、注意が必要です。

「問題発言は後で削除すればいいじゃん」というのは、
はっきりいって甘すぎます。

ネット上では、他人の問題発言を、
注意深くチェックしている人たちがいて、
その人たちは、発言があった時点で、
その記録を取得しているので、削除しても無駄です。
(記録を取得することを「魚拓を取る」といい、簡単にできます)

結局大事なのは、組織の意義を伝え、
それをベースにした、意義ある体験を提供する。

それによって、関わった全ての人にとっての、
「自分なりの○○団体物語」を心に持ってもらう。
これに尽きます。

「私たちが話を聞いたとき、
 理事や職員はもちろん、活動の参加者や会員、ボランティアでさえ、
 自分自身の語るべき物語を持っていた。」

「守り神」が現れるための条件

さて、世界を変える偉大なNPOに限らず、
成功者の話には、よく、
困ったときに「守り神」的な存在が現れて、
危機を脱する話が出てきます。

NPO業界で言えば、大きな寄付や支援があるとか、
そういった類ですね。

資料には、偉大なNPOのリーダーの言葉が紹介されています。

「人が必死で世界を変えようとし、
 その熱意と理想をほかの人と分かち合おうとするとき、
 『守り神』が現れて助けてくれる」

この言葉は、ともすると、
なんとなく流して読みとばしそうな言葉ですが、
「守り神」的な存在が現れるための条件を、
凝縮して述べています。

その条件とは…

・必死である(無我夢中)
・熱意や理想を他の人に伝えないと始まらない

これまた「何を当たり前のことを」と思われそうですが、
見落としがちなポイントです。

必死云々はわかりやすいですが、
「無我夢中」は、本来の意味とは別の意味で、
文字通りの内容です。

「無我」:自分のためだけでない、より公共善的な内容
「世界を変える」は、そのひとつでしょう。

「夢中」:自分がビジョン(理想)の中心に立つ
ただ、ともすると抜けやすいのが、

「熱意と理想をほかの人と分かち合おうとする」行為。
これは、「オレはいいことしてるんだから、みんな分かってくれるに違いない」
こんな思いとは正反対です。
こんな思いで無我夢中でやったって、守り神は現れません。

しかも、熱意と理想を他の人に「伝える」のではなく「分かち合う」。
言い換えれば、共感をベースに熱意と理想を共有する。
ま、書く分には簡単ですが、
実践はものすごく難しいのですが。

スーパーエバンジェリストを引き寄せるカギはコミュニティの規模?

資料では、「スーパーエバンジェリスト」について触れています。
要は、VIPです。

「社会に大きな影響力を持つ組織は、
 有力な個人、いわゆる『スーパー・エバンジェリスト』を見つけたり、
 彼らの意識を変えたり、育てたりすることに、
 とりわけ戦略的である。

 これらの組織は、よい味方や親善大使になってくれそうな人を、
 その人の価値観や組織が目指す社会目的の関心の度合いをもとに見つけ出し、
 理事や一般の支援者として慎重に採用する。」

自分の組織にとっての「スーパーエバンジェリスト」候補を見つけ出すことは、
そう難しくないのかなと思っています。

VIPのツイッターを眺めたりしていれば、
その人がどのような価値観を持っているかはわかりやすい。
その人の価値観と、自分たちの組織の価値観が一致しそうな人は、
どこかにいるでしょう。

ただ、「スーパーエバンジェリスト」候補を、
どうやって実際に「スーパーエバンジェリスト」として、
引き入れていくか。

その方法論については、私には完全にお手上げです。

ただ、次回取り上げる、エバンジェリストのコミュニティが、
一定以上の大きさであれば、
必ず政治家は話を聞いてくれるはず。

 

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