『世界を変える偉大なNPOの条件』-8-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は前回に続いて、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則3:熱烈な支持者を育てる」をとりあげます。

前回は、外部の人をエバンジェリストに変えていくための、
「参加意識を高める4つの法則」、

(1)組織の使命や目標、価値観を伝える
(2)意義のある体験を生み出す
(3)エバンジェリストを育てる
(4)愛されるコミュニティを築く

このうち、(1)を取り上げました。
今回は(2)を取り上げます。

「意義ある体験となる」「参加したいと思える」イベントを作るには?

組織の使命や目標、価値観を伝えて、
自分たちの団体に関心を持たせたら、

次は、自分たちの活動を体験してもらいます。

「成功しているNPOは、自分たちの価値観を宣伝するだけでなく、
 自分たちの活動を外部の人に体験してもらう機会を提供している。
 ビジネスの世界で『経験価値マーケティング』と呼ばれているものだ。」

「優れた組織は、感動を与える体験型イベントを通じて外部の人を巻き込み、
 社会変革を生み出す行動への参加を可能にする。」

ここで、「経験価値マーケティング」について紹介。

“消費者の生活に深く入り込む「経験価値マーケティング」”
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2006/20060130/1063/

上記ページで定義されている「経験価値マーケティング」とは…

・情緒的価値の強調
・カテゴリー概念の放棄:従来のSTPマーケティングの放棄
・消費者インサイトの探索
・コミュニケーション手段としてのデザイン:消費者の視点を、無意識のうちに変えさせる

上記ページを見ると、
まるで前回記事を復習しているような気分になります。

偉大なNPOは、
消費者(外部の人)の視点を、無意識のうちに変えさせるために、
 体験という手法を意識的に用います。
(シティイヤーでは、加えてデザインも活用します)

直接的な参加体験が難しいジャンルの活動でも、
「自分たちの活動を、直接見てもらう」というイベントをやっているところもあります。

「本書にあげた組織の多くは、支援者のために、
 イベントや使命に関連したボランティア活動のほか、
 組織の取り組みを間近に見られる機会などを通じて、
 こうした体験の場をつくる方法を見つけ出した。」

とはいえ、体験イベントやふれあいイベントの類は、
多くの市民活動団体やNPOでやっているものでもあります。

こうした様々なイベントの全てが、
外部の人にとって「意義ある体験」となり、
視点を無意識のうちに変えさせうるかといえば、
そんなこともないでしょう。

また、そもそも「参加したいと思える」イベントでなければ、
どうしようもないわけです。

では、どうすれば、「意義ある体験となる」「参加したいと思える」
イベントを作り上げられるか?
実は、資料ではその点を具体的に示していません。

ただ、資料の事例、および様々な事例などを通して、
おぼろげながら、その道筋を示すことができるのではないかと思います。

<「参加したい」「意義ある体験となる」イベントとは…>

(1)組織の使命や目標、価値観とリンクしている
(2)チャレンジが必要になる
(3)知名度が高い(有名人が参加している)
(4)自尊心をくすぐる
(5)気軽(いつでもやめられる)

まず、(1)は前回の復習であり、
全ての土台です。

イベント前に、こうした組織の使命や目標、価値観を、
あらゆる形で伝える工夫が必要になります。

たとえば、「じゃあ、ごみ拾いましょう」ではなく、
ごみ拾いの前に、組織の使命や目標、価値観を伝えて、
それを意識させた上で活動させる、とか。

この点で、イベント後に、
なるべく参加者の感想を共有させるようにすると、
より効果があります。

(2)は、ほどよいチャレンジがあると、
感動が高まりやすい、という話です。

加えて、なるべく退屈させない、ということが、
その前提になります。

(1)、(2)のミックス事例としてよく知られるのは、
「掃除に学ぶ会」ではないかと思います。
http://www.souji.jp/index.html

あれは、「掃除で心を磨こうぜ」というシンプルな、
(それゆえ無意識に響きやすい)価値観に加え、
「トイレ掃除」という、ちょっとチャレンジしないとできない活動であるから、
参加者のウケが大きいわけです。

あれも、批判はもちろんいろいろあるわけですが、
参加者にとっては、何かしらの達成感がある。

 「体験による説得であれば、
 多くの雑音や情報過多も問題にならない」

(3)は、資料にも記載されている、
「ティーチ・フォー・アメリカ週間」がいい例です。

これは、

「年に1度開催される全国的な催しで、
あらゆる職業のリーダーたちが自分の時間を1時間使って、
全国で最も所得の低い子どもたちに教える」

というイベントです。

一般の人にとっては、関心を持たせやすいイベントであると同時に、
有名人にとっても、自尊心をくすぐるイベントになっています。

有名人のみならず、人は誰でも自尊心をもっているわけで、
「自尊心をくすぐる」イベントは、重要ですね。

資料でも、VIP向けにイベントを行う団体も、
数多く紹介されています。

この点で、プロボノは、
参加者の職業人としての自尊心をくすぐると共に、
「いつでもやめられる(期限付き)」という点でも、
参加者にとっては、心に残るイベントになるわけです。

サービス・ラーニングを土台とした、大学とNPOの連携はできないか

意義ある体験を通して、人を教化していこうという手法。
 この手法は成功すると、人の価値観を大きく変えることができます。
(そのため、この手法はよく「宗教くさい」といわれるわけですが)

そのため、教育の分野でも、「体験を通して学ぶ」という手法が、
以前から少しずつ進められています。

それが「サービス・ラーニング」と呼ばれる手法です。
http://goo.gl/SCIu4

日本では、いくつかの大学で、
サービス・ラーニングが実施されていますね。

今後、サービス・ラーニング手法での、
大学とNPOとの連携が、もっと進んでいって欲しいものです。

ティーチ・フォー・アメリカ、日本でのティーチ・フォー・ジャパンは、
その最たる事例として、注目されているわけですが、
他の事例も、いろいろと注目されるようになって欲しいものです。
 

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