『世界を変える偉大なNPOの条件』-5-

 しばらく、
 NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
 原則と事例両方のアプローチの一環として、

 『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
 題材に考えていきます。

 今回からは、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
 「原則2:市場の力を利用する」をとりあげます。

企業にCSVの実践を促すNPO

 資料では、最初に「エンバイロメンタル・ディフェンス」という、
 環境NPOについてふれています。

 このNPO、1980年代までの非公式スローガンは、
 「ろくでなしを訴えろ」

 いやぁ、分かりやすいですね。
 環境に配慮しない企業は、徹底的に訴訟地獄を味あわせてやるぜぇ!
 そんな意気込みが伝わってきますね。

 しかし、途中で路線変更。

 マクドナルドに、梱包を簡略化したほうが、
 環境にも利益にも優しいことを説き、
 フェデックスに、ハイブリッド車の利用を呼びかけています。

要は、企業にCSV(共通価値の創造)の実践を促す、
 コンサルタントみたいな役割を果たしているわけですね。

「彼らは、企業が社会の強力なプレーヤーであることを知っている。
 企業は悪をなす力になることがあれば、
 善の力にもなる。」

 CSVについて取り上げたときも説明しましたが、
 企業サイドも、社会的責任を果たすのみならず、

上手に社会課題に取り組んだほうが、
 単に外部コストを支払わされる損ではなく、
 企業業績の向上につながる投資となりえることを、
 実感できているところは実感しつつある。

「企業業績は社会的責任の遂行によって向上させることができるし、
 他方、NPOも社会問題の解決に民間企業の力を利用して
 影響力を高めることができる。」

 双方の利害が一致をみているといえるでしょう。
 

市場を最大限に生かす3つの方法

 では、市場の力を生かすには、どのようは方法が考えられるか?
 資料では、3つの方法をあげています。

(1)企業のやり方を変えさせる

 NPOは、単に道義的な意義を訴えるのではなく、
 やりかたを変えることが、
 いかに企業の利益を高めるかを示す必要があります

(2)企業と提携する

 単に企業から寄付やボランティア要因を受けることから、
 より戦略的な企業スポンサーを得たり、
 業務提携を行ったりすることまで、
 あらゆる提携を含みます。

(3)自ら収益事業を運営する

 要は社会起業家ですね。
 それぞれの方法を、もっと詳しく見ていきます。

 「(1)企業のやり方を変えさせる」方法を、
 資料では、さらに2つに分類しています。

 第一は、「環境や労働者への悪影響を最小限に抑える」
 経済学で言うところの「負の外部性を減らす」活動です。

 これも、単に訴訟したりデモしたりでは、
 偉大なNPOではなく、普通のNPOです。

 上記の「エンバイロメンタル・ディフェンス」のように、
 環境コンサルを行ったり、

 労働者が健康で過ごせるような打ち手を行って、
 企業の福利厚生費を削減させるコンサルとかになるでしょう。
 第二は、「企業が『善の力』となれるよう支援する」

 資料では、

「製品やサービスが行き届かなかった市場に進出」
「低所得者の資産を増やすのを助ける」

 が挙げられています。
 前者はBOPビジネスで、後者はグラミン銀行といったところでしょうか。

 「(2)企業と提携する」について、
 資料では、提携によって企業にどのような利益をもたらし得るかを、
 記載しています。

・提携によってNPOは資源を入手し、
 企業はNPOのアイデアやサービスをさらに幅広く普及させる手助けをする

・企業は経費削減や従業員の生産性向上、あるいは売上向上などを実現し、
 目に見える成果を得ることもある

・企業とNPOはマーケティングの観点からも影響を受ける
 NPOは注目度が上がり、ブランドイメージも向上する。
 企業のイメージも上がり、消費者や従業員、販売店などの忠誠心にも好影響を与え、
 最終的には売上と利益の増加に結びつく。

 
 実際のところ、企業とNPOとの協働によって、
 Win-Winとなった事例は多くないのですが、
 目指すところはこのようなところでしょうか。

 容易に相乗効果をイメージしやすいのは、
 ブランド戦略面とか、企業内のプロボノ推進で、
 従業員が自分の業務に対して自信を持てるようになる、とかですかね。
 
 Win-Winで重要なのは、

「最も優れたNPOは、企業が彼らに与えてくれるのと同じように、
 彼らも多くのものを企業に与えなければならないことを知っている。」

 という資料の指摘ですね。
 これは、7つの習慣から見てもその通りですよね。

 資料だと、全米規模のNPOが、
 提携先の企業が新たな州に進出する際に、
 人脈の紹介をした例も記載されています。

 「(3)自ら収益事業を運営する」については、
 資料では、あまり多くの頁を裂いていません。

 それは、次回取り上げる、
 「市場の力を利用するリスク」を考えると、
 やむをえないのかもしれません。

 …そんなわけで、次回は、
 「市場の力を利用するリスク」をとりあげます。

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