『世界を変える偉大なNPOの条件』-2-

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今回からしばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則1:政策アドボカシーとサービスを提供する」をとりあげます。

NPOのロビー活動は、非常に大切

資料では、まず

「社会セクターのほとんどの組織は二種類に分けられる。
一つは地域活動を行うサービス組織、
もう一つは一般市民の関心を喚起して政策の改革を推進するアドボカシー組織である。」

と銘打っています。

日本では、前者を市民活動、後者を市民運動というくくりで、
分けることが可能でしょうかね。

さて、資料では、アドボカシー活動の中でも、
「ロビー活動」を重点的に取り上げています。

「ロビー活動」というと、何のこっちゃわからない人が多いのでは?
(大広間でダンスとか行商とかをやる活動ではありませんよ?)

実際のところ、ロビー活動とは、
議員に様々な働きかけを行う活動ですが、

知ってる人の多くも、陰謀論大好きな人だったりするのでは?
「ユダヤ人が世界で力を持てるのは、
アメリカ政府に積極的にロビー活動を行っているからだぁ!」とかね。

あとは「業界団体が族議員にロビー活動して、自分の業界の既得権を守る」とか。

要は、ロビー活動については、知らないか、
知ってても「なんか怪しい」「うさんくさい」イメージ。

そのへんの事情は、アメリカでも同じようで。

「ロビー活動というと、大金持ちの影の実力者が
高級レストランで連邦議会議員と昼食をとっているような
マイナスイメージがある。」

なんて、資料にも書かれています。

しかし、アメリカでは、
NPOとかの社会セクターのロビー活動も、数多くなされています。

資料によると、1976年に成立した法律では、
「ロビー活動はNPOのごく適切な機能である」と認められているそうです。

日本でも、アドボカシー活動というと、
政府や自治体に対するデモとかを連想しがちですが、
ロビー活動を水面下で進めている団体も、数多くあります。

有名なのは、NPO法設立、及び改正のために、
ロビー活動に尽力した、シーズでしょうか。
http://www.npoweb.jp/

「白書ブーム」の先を見つめる

さて、政策アドボカシーとサービスとの関係ですが、

「政策分析と地域サービス実施を組み合わせる手法は、NPOの分野では人気がなく、
普通は別々に行われている。」

と資料にもありまずが、実際のところ、その通りですよね。

両者の関係について、資料では、

「シンクタンクが課題別に研究を発表し、
アドボカシー団体がこれを市民や政治家に喧伝して政策を作る。
そして法律が制定されると、政府が草の根NPOとサービス供給契約を結ぶ、
というのが一般的なシナリオ」

とあります。

個人的には、日本の状況を考えると、あまりピンときませんね。
たぶん、日本では以下の状況があるからでしょう。

・シンクタンク自体が少ない

・アドボカシー団体とシンクタンクとの連携が少ない。
アドボカシー団体は、シンプルな自分たちの「要求」を、
主張しているだけのことが多い。

・政府が草の根NPOとサービス供給契約を結ぶ事例が少ない。

法律に基づくサービスは行政が担当し、
草の根NPOは、政府と関係なくそこから漏れた人々を扱っている事例が多い
それに対して、偉大なNPOは、

地域サービス「と」アドボカシーの両方を行い、
この2つの活動を結び付けている、のだそうです。

このことに関して、日本のNPO、社会起業家業界でも、
ここ最近「白書ブーム」というのが言われています

白書(はくしょ)とは、本来は、

「日本の中央省庁の編集による刊行物のうち、
政治社会経済の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とするもの。

政府の施策についての現状分析と事後報告を中心とした公表資料であり、
統計、図表、法令などのデータ集は含まれない。」(Wikipediaより)

要は、政府発行のシンクタンクレポートですね。
ま、霞ヶ関は日本最大のシンクタンクとか言われてますすね。

これに対し、NPOが主体となって、
「政治社会経済の実態」を、政府を介在せずに、
「国民に周知させることを主眼とする」のが、

最近のNPO業界の白書ブームといえるのかもしれません。

ちなみに、白書ブームのムーブメントの火付け役は、
IIHOEの川北さん

“NPO発の白書が増えてきた! ”
http://blog.canpan.info/dede/archive/619

具体的な白書ですが、たとえば…

・NPO法人マドレボニータ「産後白書プロジェクト」
http://plaza.rakuten.co.jp/sangohakusho/

・NPO法人NEWVERY「中退白書」(本です)

・NPO法人NEWVERY「漫画家白書」(本です)

ただ、いずれも、
これらの白書は、資料の記載で言えば、

「シンクタンクが課題別に研究を発表」する機能を、
自分たちで行った、ということであって、

「アドボカシー団体がこれを市民や政治家に喧伝して政策を作る」
という段階には、現状では至っていません。

もちろん、上記の白書監修団体は、
そうしたアドボカシーを視野に入れて活動しています。
その点では、上記の団体は「偉大なNPO」への道を踏み出している、といえるのでしょう。

ただ、このムーブメントに続かんとするほかの団体が、
もし「自分たちの団体が扱う課題についての○○白書を出すこと」を、
ゴールととらえてしまうことがあれば、それは間違っているということになります。

あくまで、白書は、
自分たちの団体が扱う課題について、
「市民や政治家に喧伝」して、その上で「政策を作る」ところまでいって、
初めてひとつのゴールといえるでしょう。

ま、政策を作らなくても、
市民に白書を配布して、社会課題について理解してもらう、
できれば寄付とかをもらう、というのも、
十分に大きな意味を持つのですが。

…次回は、「原則1:政策アドボカシーとサービスを提供する」についての続き。
お楽しみに!

○おまけ

NPOの白書ブームとは何の関係もない、ただのネタなのですが、
「幽遊白書」とか「いちご白書」とか、そんなマンガがありましたね。

これまであげた白書の定義から見て、
政府刊行でない、という点はおいといて、
(それを言ったら、NPOの白書だって同罪)

その他の定義から見てみれば、
「幽遊白書」の場合、あれはまだ、テーマが幽霊とか霊界だったりするので、
そのあたり世界の実態について、「国民に周知させるのが目的」なんだと、
言い張ることができそうですが、

「いちご白書」の場合、
読んでないから断定は避けるべきなのでしょうが、
テーマに「いちご」がからんでいるとは、どう見ても思えない。

本当に「いちご白書」と名乗るのであれば、
わが国におけるいちごの生産高と世界の生産高の比較とか、
いちご農家の現状とか、先進的農家の事例とかを、
きちんとまとめたうえで「国民に周知させる」のが筋なのではないか。

それ以上に、例えば福島のいちご農家が、
震災復興の一環として、自分たちの現状をまとめた「いちご白書」を監修すると、
なんか、内容が別な方向に誤解されてしまうのではないか。

そんなことを危惧してしまう、今日この頃です。

いや、いちご白書の内容についてどうこうではないんですけどね。
いちご白書みたいなラブコメも、それはそれでいいんですけど。
でも、ラブコメもいいけど、パブコメ(パブリックコメント)も大切だよねぇ。

※パブリックコメント

公的な機関が規則あるいは命令などの類のものを制定しようとするときに、
広く公に(=パブリック)に、意見・情報・改善案など(=コメント)を求める手続をいう。

公的な機関が規則などを定める前に、
その影響が及ぶ対象者などの意見を事前に聴取し、
その結果を反映させることによって、よりよい行政を目指すものである。
通称パブコメ。

 

……な~んて、アホなことばかり考えていたら、
うちのカミさんから、「とりあえず頭使うのはやめて、休んだら?」とか、
ツッコまれてしまうので、今回はこのへんで。

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