『7つの習慣』から協働のあり方を考える -8-

しばらく、協働の「原則論的アプローチ」について、
『7つの習慣』をテキストに使用したいと考えています。

今回取り上げるのは、
第6の習慣「相乗効果を発揮する」。

この第6の習慣は、いわばこれまでの集大成であり、
まとめだといえます。

第7の習慣「刀を研ぐ」は、これまでの集大成ではなく、
健康に気をつけようとか、そういう内容。
確かに、そこをおろそかにしてはアカンですが、
ここでは取り上げません。

日常で相乗効果を起こすのは、非日常よりはるかに難しい

コヴィー博士曰く、

「相乗効果とは何なのか。簡単に言ってしまえば、
 全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということである」

1+1=3とか10にしようとか、そういうこと。

本来、協働ってのは、そのためにするわけですが、
実際は、1+1=2であればまだいい方で、
0とかマイナスになってしまうケースが多い。
それは、これまで見てきたとおりです。

ともすると、非常に失敗しやすい協働。
そうならないようにするために、
コヴィー博士のいう相乗効果について、
もう少しみていきましょう。

まず、コヴィー博士は相乗効果を、
「きわめて創造的な活動」と定義しています。

一見すると、当たり前じゃん、とスルーしがちですが、
この点について、コヴィー博士の言葉を見ていきましょう。

「相乗効果的な協力は、決して非日常的な特別なときだけのものではなく、
 常日頃から確実につくり出すことができるものである。

 しかし、そのためには、
 それにふさわしい個人的な安定性、オープンな態度、冒険的な精神が必要」

まず、この文書からは、
相乗効果は、実は非日常のほうがつくりやすいことを、
くみとることができます。

東日本大震災後には、さまざまなレベルでの相乗効果が、
発揮されていましたよね。
「ふんばろう東日本支援プロジェクト」は、その最たるものの一つではないでしょうか。

以前紹介した記事。

“会議をしている場合ではない! 震災復興と企業改革はスピードで臨め”
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120621/233634/?P=1

この記事の中で、ふんばろうの西條氏に対して、横山氏が、

「西條さんの体験は、東日本大震災の最中で新しい仕組みを作るという、
ものすごくインパクトの強い出来事」としたうえで、

「何のしがらみもない新しいプロジェクトを、
新しい人たちとの出会いの中で取り組んだ時に、
爆発的な力が出た」と指摘してました。

その上で、

「企業などの組織の中で仕組みを変えるというのはとても難しいんです。
何か新しいこと始めようとしても、
面白くない上司や同僚が足を引っ張ってつまずいてしまう。」

と慨嘆しています。

こうしてみると、よほど非日常でない中で、
相乗効果的なことを推し進めるには、
「冒険的な精神が必要」というのは、うなづけると思います。

さて、上記のコヴィー博士の文章にあった、

「個人的な安定性、オープンな態度、冒険的な精神が必要」

このことを、もう少し掘り下げてみましょう。

内的な安定性(第1~第3の習慣)が土台

まず「個人的な安定性」について。
ここでコヴィー博士の言葉。

「曖昧さに耐え得る力を持ち、
 内的な安定性と原則に対する誠実さを持っていなければ、
 創造的な事業への参加は、極めて不愉快な気持ちと不安を感じさせるものになる。

 なぜなら、内的な安定性を持っていない人は、
 明確な構造や確実な結果を強く要求せずにはいられないからである」

…ま、ここでの安定性が、第1~第3の習慣が確立した結果もたられることは、
理解できると思います。

・私の、私たちのミッションに対する心からの確信(内的な安定性)
・ミッションを裏切らない(原則に対する誠実さ)
・ミッション達成の方法は、一つではなく無限に開かれている(曖昧さに耐え得る力)

こうした土台が無いと、相乗効果のスタートに立てない。
でも、これって、非常に難しいのですよ。

社会起業家たちが、常に自分たちのミッションを確信し続けられるかといえば、
それは非常に難しい。
常に「本当にこれでいいんだろうか?」という葛藤との闘いがある。

また、活動が広がっていくと、
 ミッションがあいまいになる可能性が高まる
事業でもうかってくると、ミッションをさておいて
「よりもうけるには?」に意識がいきがち。

そして、ともすると,

「自分たちが正しい」という思いにとらわれて、
 人の話を聴かずに断罪しがち。

こうした土台がしっかりしないと、
「明確な構造や確実な結果を強く要求」することになる。

明確な構造とは、典型的にいえば
「私はいい人、あなたは悪者」構造。

確実な結果とは、いくらもうけられるか、もありそうですが、
それ以上に「失敗しないという保障」かと思います。

自分をオープンにしてさらけ出す難しさ

続いて「オープンな態度」「冒険的な精神」。

コヴィー博士は、相乗効果にいたるには
「必ずといっていいほど大きな勇気を必要とする瞬間」がある、と指摘しています。

ここでの「大きな勇気」は、新しいことをする勇気ととることももちろんできますが、
それ以上に、自分をオープンにしてさらけ出す勇気、ともいえます。

「あなたが誠意を示し、自分の本当の姿、
 特に自分の個人的な経験や自身のなさを表面に出せば出すほど、

 それを聞いている相手はあなたの話を自分の経験と重ね合わせ、
 そこから自分自身を表現できる安心感が生まれる」

自分をオープンにしてさらけ出す、ってホントに難しいですよね。

1.オープンに、って愚痴を言い合うことなの?
2.さらけ出すことで、相手がつまずいてしまうのではないか?
3.さらけ出すことは、自尊心が傷つく

こうした葛藤が出てきがちです。

まぁ、1は論外であることはわかります。
それでも、よく勘違いされやすい点でもありますが。
信頼残高の考え方から言えば、これは間違い。

問題なのは2と3。

2は、信頼残高の考え方、および第4、5の習慣が、
この葛藤を超えるためには必要です。

 信頼残高が足りないのに、互いにオープンにはなれない。
 Win-Winの考え方を貫く。
 まずは相手を理解する努力をする。

こうした手順がないと、オープンにはなれない。

3は、第1~第3の習慣が確立しているかどうか。
第1~第3の3つの習慣によって、自分の本心を打ち明ける際、
背負わなければならないリスクに耐えられるだけの内的な安定性と自尊心を、
育成することができます。

個人的には、本当の意味で自分が好きな人、
ありのままの自分を受け入れている人は、
3の葛藤を乗り越えることは、そう難しくないのかな、と思います。

ま、今の時代、
ありのままの自分を受け入れることがあまりに難しく、
人に対して攻撃的になる(自分を受け入れる基準が人に勝った負けたになる)から、
「呪いの時代」なんていわれているんですけどね。

まとめ

単にお互いの不足な点を補い合うだけでなく、
相乗効果的な協働を実現するためには、
少なくとも以下の点が必要ということになります。

1.まずは、自分の団体の足元を固めよう

自分の団体がしっかり活動できてないのに、
協働なんてかっこ悪い。
というより「おたく何者?」から先に進まない。

2.当初の提案はあくまで呼び水

ま、当初の提案もなしに、いきなり話し合いましょうも何もないので、
当初の提案は必要。
しかし、そこにこだわらず、当初の提案に対する相手の反応を見て、
相手を理解することに努め、
Win-WInでいけるように、根気強く第三案を作っていく。
補足として、「きっかけができたら、信頼残高を積み上げる」
定期的に報告書をもっていくとかね。

営業でも、何かと顧客に会っておくのが重要な仕事です。

 

コヴィー博士を引用しての協働の原則論的アプローチはこれくらいにして、
次回は、協働の新たなステージとしての「CSR4.0」の可能性について
ちょこっとふれます。
それ以降、協働の実際の事例からアプローチしていく予定です。

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