CSVまとめ-「持続可能な資本主義」とその他対案-

これまで、CSVの課題について、ふれてきました。
正直、企業がCSVを実践していくのは、
簡単ではないでしょう。

ただ、個人的には、CSVの実践は、
企業の今後の生き残りにとって、重要な要素となると考えています。

いわば、簡単であろうとなかろうと、
CSV的な経営を目指さないと、市場で生き残れなくなる可能性が高い。
 今後、そうした時代になるであろう、と考えるからです。

というのも、ウォール街デモに象徴されるように、
今後は「持続可能な資本主義」を求める声は、
さらに高まると考えられるからです。

資本主義の欠陥にどう取り組むか1 -持続的な資本主義

そもそも、資本主義の何が問題なのか?
池田信夫氏が紹介する、現代の資本主義の5つの欠陥をみてみると…
http://blogos.com/article/27746/

1.環境などの公共財に適切な価格をつけることができない
2.所得分配の不平等をもたらす
3.医療のような情報の非対称性の大きいサービスを適切に供給できない
4.まだ生まれていない世代の福祉を非常に過小評価する
5.金融システムをうまく制御できない

これ以外にも、資本主義の欠陥を挙げろといわれれば、
多くの人がたくさん挙げてくるでしょう。

このような資本主義の欠陥に対して、多くの人は、
「欠陥を克服して、よりよい資本主義社会をつくろう」と考えます。
これが、「持続可能な資本主義」です。

 「持続可能な資本主義」のキモは、
 「短期志向ではなく長期志向」。

たとえば、アル・ゴア氏のこんな主張です。
http://plaza.rakuten.co.jp/stefibonfa/diary/201112150018/

四半期報告の廃止とか、報酬体系を長期的な体系に合わせたものにするとか、
そんな主張です。

ゴア氏の主張に基づいた政策を実行すれば、
あるいは、上記の資本主義の5つの欠陥のうち、
1と5は是正できるかもしれません。

また、現在、先進国では2と4の問題が混在しています。
すなわち「富める現役世代(とりわけ高齢者)」と「貧しい未来世代」の格差、
「世代間格差」と呼ばれる問題です。

こうした問題に、長期的視野でどう取り組める社会をつくるかが、
「持続可能な資本主義」には問われます。

CSVは、このような「持続可能な資本主義」の旗手としての役割も、
 求められているといえます。
 ポーターも、資料最後に「持続可能な資本主義」について言及しています。

資本主義の欠陥にどう取り組むか2 -なるべくローカルな(地域に根ざした)生活圏で全てを回す

よく、持続可能な社会を考える上で、
「なるべくローカルな(地域に根ざした)生活圏で全てを回す」
という考え方に触れることがあります。

実現可能性はともかく、これも一つの方法なのでしょう。
ポーターの「企業競争力の源泉は、企業を取り巻く地域社会の健全性と切っても切れない関係にある」を、
このニュアンスでとらえることも不可能ではないのかもしれません。

TPP反対や食糧自給率向上も、あるいは地域通貨も、
こうしたニュアンスでとらえるべきなんでしょうね。
「基本的にはローカル生活圏で回すけど、ないものは輸入」みたいな。

Uターン、Iターンを目指す若者も多いのだから、
こうした考え方のニーズは低くはないのでしょう。

鎖国だって、一切の外国との関係を絶っていたわけではなくて、
薩摩、長崎、松前では限定的な交流を行っていたわけで。

この考え方からすれば、EUが破綻するのは当たり前で、
さっさと国単位(あるいは地域単位?)の独自通貨に戻せ、という話になります。
現実、こうなる可能性は高いですよね。

ただ、日本の場合、今後「国がすべてのあらゆる地域にあまねくインフラを」は、
できなくなってくると思われるので、
その辺をどうするかが問われてくるのでしょうね。

また、人口減少社会の中では、
この考え方をもってしても、過疎や限界集落の問題を解決するのは、
容易ではないと思われます(移民を積極的に受け入れれば話は変わってきますが)。

この考え方の派生系として、

「途上国は資本主義で頑張って経済成長して、先進国はローカル生活圏で」

というのも考えられますが、非常に難しいでしょうね。
この考え方の背景には、

「全ての国でローカル生活圏で回せ、ってのは、
貧しい国はいつまでも貧しいままでいろ、ってことですか?」

という問題提起があるのですが、
この考え方を容認すると、先進国のローカル生活圏が脅かされます。
「安い○○産」なんて出てきたら、ローカル生活圏崩壊でしょ?

 逆に言えば、日本やその他先進国ががローカル生活圏に引きこもるというのは、
 世界の途上国からすれば、かなりエゴに写るでしょうね。

……あと、「社会主義」という考え方もありますが、
日本人の考える「理想的な社会主義」って、こんなん(ローカル生活圏)じゃないですか?
 まさか、「旧ソ連のような計画経済でうまくいく」ってことでもないでしょう。

上記のようなことを考えていくと、
資本主義の持続可能性を追求するなら、CSVに期待せざるを得ない、
というのが正直なところかもしれません。

 今後、世界がお互いに過度にローカル生活圏に引きこもることなく、
 バランスをとりながら持続可能な資本主義を模索していくことを願うしかない。

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