CSVの疑問及び今後の課題 -5-

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「CSV」という考え方の、
疑問及び今後の課題を取り上げてみたいと思います。

「CSV」とは「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略。

個人的に考えられる、CSVの疑問及び今後の課題は、次の5つ。

(1)「CSV=多国籍企業(大企業)」なの?
(2)企業とNPO、社会起業家との協働は簡単か?
(3)輸送コストと現地生産、どちらが安い?
(4)消費者が品質よりも安さを重視した場合、
調達段階で買いたたく行為は止められないのでは?
(5)CSVとグローバリゼーション

今回は「(5)CSVとグローバリゼーション」について、
考えてみることにします。

雇用からCSVを考えると、企業は価値を奪っている

CSVの理論から考えると、
企業は、その本社のある地元に価値を創造しないといけない。

しかし、現実には、
本社は戦略本部であって、
実際の製造は新興国にアウトソーシングしているケースが多い。

アップルなんかは最たるものですね。
地元からすれば、どんなにアップルの製品がすばらしくても、
それは雇用の創造とは何ら関係ない。

むしろ、決して優秀といえない人にとっては、
職は新興国の人間に奪われている。
その新興国に仕事をあげたのは、企業自身。

こうしてみると、企業は価値を作り出すどころか、
奪う元凶になっている。

全く同じ仕事を、月20万でやってくれる人と、
月1万でやってくれる人がいたら、
普通、月1万でやってくれる人がいいに決まってる。

こうして、先進諸国から職が奪われている。
まぁ、これが「グローバリゼーションの負の側面」の一つってやつです。

じゃあ、企業は意地でも本社のある地域内で雇用せよ!
そうなると、今度は企業側が当然苦しくなる。

実際は、こうした現象の裏返しとして、
新興国や途上国の発展につながっているわけですが、
自分が苦しいのに、人のことなんて、知ったこっちゃないですよね。

CSVで雇用の価値を創造するのは、きわめて難しい。

この問題の正論(?)は、「職があるところに移動する」

「田舎にオラの職がないから、都会で頑張るべさ!」的な要領で、
「国内に自分ができる職がないなら、できる職がある国に引っ越す」

日本国内で人が引っ越すように、
それを地球レベルでやっちゃう。

ただ、これを「Oh! グッドアイディア!」と言える人は、
多くないでしょう。

言える人は、たいていエリートであって、
それこそウォール街占拠デモで槍玉にあげられそうな人たち。

言葉と文化の問題は、その最大の障害ですね。
そこに、グローバリゼーション問題の難しさがある。

EUだって、この正論から言えば、
ギリシャに職がなければ、ドイツに移るとかそういうことになりますが、
ヨーロッパの人は、自分の住んでいる地域を心から愛している人が、
非常に多いわけで、やっぱり、それは現実的ではない。

もちろん、この問題のもう一つの正論(?)は、「各国鎖国」
TPPなんて論外。むしろ輸入品は絶対国内に入れない!
そうすれば、国内の雇用は確保できる!

現状だと、「Oh! グッドアイディア!」と
言いたくなる人が多いことは理解できますが、

第一次大戦後、世界恐慌後に先進国みんなが実質鎖国して、
その結果何が起こったかを見てみれば、
この案を安易に賛同することは、はなはだ危険であることが、
ご理解いただけると思います。

ま、それ以前に、今の日本でそれやったら、
日本はあっという間に北朝鮮以下のレベルになりますよ、と。
国内になにもないんだから。

そう考えると、CSVのあり方を問う上で、
「企業は地元に雇用を確保すべき」という価値を作り出すのは、
 現状、きわめて難しいというしかないでしょう。
企業の規模が大きくなればなるほど。

部分的には、地元だけで雇用を完結する企業事例も出てくるでしょうが、
それを全ての会社で行う、というのは、きわめて難しいでしょう。

もし、CSVの条件として、地元だけで雇用を完結しないといけないというのであれば、
多くの企業で、CSVの実践は不可能になるでしょうね。
大企業だと「国内だけで雇用を完結」すら難しいでしょう。

できることは、職場内のパワハラ撲滅とか、
従業員の健康促進とか、そのあたりになりそうです。
このあたりは、「日本でいちばん大切にしたい会社」の事例が、
ある程度参考になりそうです。

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