CSVの疑問及び今後の課題 -3-

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今回からは「CSV」という考え方の、
疑問及び今後の課題を取り上げてみたいと思います。

「CSV」とは「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略。

個人的に考えられる、CSVの疑問及び今後の課題は、次の5つ。

(1)「CSV=多国籍企業(大企業)」なの?
(2)企業とNPO、社会起業家との協働は簡単か?
(3)輸送コストと現地生産、どちらが安い? 
(4)消費者が品質よりも安さを重視した場合、
   調達段階で買いたたく行為は止められないのでは?
(5)CSVとグローバリゼーション

今回は「(3)輸送コストと現地生産、どちらが安い?」について、
考えてみることにします。

この問題を考える上で、
少なくとも、以下の問題は避けては通れないでしょう。

(A)ガソリンのコスト
(B)CO2のコスト
(C)雇用、教育のコスト

輸送コストの大部分は、中東諸国と石油の未来で決まる

後述するCO2コストが存在しないと仮定しても、
ガソリンについてのコストがあります。

ガソリンコストのリスク要因としては、
政治的リスクと将来的リスクがあります。

政治的リスクは、

「石油の大半は、中東諸国で歳出される為、
中東諸国の政治的思惑や、欧米との政治衝突の結果、
容易に価格が上がってしまう」

という点。
このリスクは、昔1970年にオイルショックという形で痛烈に実感させられ、
その後も何度も直面しているリスクでもあります。

もうすぐ、イランのホルムズ海峡封鎖問題がらみで、
またそのリスクに直面させられるでしょう。

また、地表面を少しボーリングするだけで大量に自噴するようなタイプの
「イージーオイル」と呼ばれる石油は今後確実に減っていくため、
ガソリンの値段は確実に上昇します。
http://blogos.com/article/30177/

このことを考えると、

「エネルギー構造の大変革が起こらない限り、
 輸送コストは拡大の一歩をたどる」ことは間違いありません。

「エネルギー構造の大変革」とは、
ガソリンに依存しない動力機関ということですね。
具体的には、電気自動車とかで、
かつ発電もガソリンに依存しない。
(数十年スパンでいえば、化石燃料に依存しない)

そう考えると、販売拠点からなるべく近くで生産、という形は、
 将来的には今よりも増える可能性がありますし、
 中長期的なプランとして検討する必要が出てくるでしょうね。

もっとも、それまでの過渡期においては、
エネルギーが節約できるモーダルシフトが必要とされそうです。
(ここでのモーダルシフトは、自動車や航空機による輸送を鉄道や船舶による輸送で代替すること)

CO2について考える

CSRの観点でよくいわれるのが、CO2排出量について。
輸送コストと現地生産の比較を考える時に、
CO2を外すことはできません。

現状では、CO2に関する税(?)としては排出量取引が有名ですが、
CO2への直接税としての炭素税も話題に上ります。

輸送におけるCO2に限定して話を進める場合、CO2排出について、
国が(世界が)単位排出量あたりに税金を要求すればするほど、
現地生産のほうが安くなります。

ただ、CO2に関する課税が輸送のみということはありえないわけで、
製造、加工の過程でも当然問われてきます。

そうなると、たとえ輸送コストは度外視しても、
CO2に関する税が法律で決まっていない途上国で製造、加工。
そんなケースも当然出てくるでしょう。
こうなると、純粋にコストだけ考えると、
現地生産ではなく、従来型の輸送形態を採用するところもでてくるでしょう。

環境についての規制は様々な難しさがありますが、
ポーターも指摘するように、
規制の方法によってはイノベーションを喚起することもできるため、
工夫が問われるでしょう。

雇用、教育のコストが難しい

この問題は、

・商品を販売するのは途上国。
 現地の人を雇用教育し、現地で製造販売

・商品を販売するのは先進国。
 国内での雇用は高い為、少しでも賃金の低い国で製造販売

この2つのケースに分かれます。
前者のケースの難しさは、前回「ラストマイル」の話で指摘したとおりです。

ただ、後者のケースは難しさの次元が違います。
結局、これはグローバリゼーションという構造の問題です。

コミュニティビジネスは、この問題を、
とにかく商品の付加価値をつけたり何とか工夫して、
雇用コストをある種度外視してでも、
コミュニティの存続を第一義にするあり方ともいえます。

グローバリゼーションについては、別の記事で改めて考えます。

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