CSVの疑問及び今後の課題 -1-

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今回からは「CSV」という考え方の、
疑問及び今後の課題を取り上げてみたいと思います。

「CSV」とは「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略。

さて、個人的に考えられる、CSVの疑問及び今後の課題は…

(1)「CSV=多国籍企業(大企業)」なの?
(2)企業とNPO、社会起業家との協働は簡単か?
(3)輸送コストと現地生産、どちらが安い? 
(4)消費者が品質よりも安さを重視した場合、
   調達段階で買いたたく行為は止められないのでは?
(5)CSVとグローバリゼーション

まずは「CSV=多国籍企業(大企業)」なのかどうかについて。
もちろん、CSVの定義からすれば、
「CSV=多国籍企業(大企業)」である必要はないのですが、

これまで取り上げてきた、
現状のCSVの事例とされるものを見る限りでは、
ほぼ「CSV=多国籍企業(大企業)」といっても過言ではない。

企業悪玉論の立場からすれば、
だいたい企業悪玉論のやり玉に挙げられるのは、
多国籍企業、大企業なわけで、
こうした企業が率先してCSVに取り組むのは戦略としては正しい。

「大企業=越後屋」くらいに考えている人たちに対して、
免罪符としての事業としてだけではなく、
利益の最大化を求める株主の要請も、同時に満たす。

また、そもそもヒト、モノ、カネがあるのは大企業に決まっているので、
その点でも、初期投資が割高になるケースが多いCSVを実行できるのは、
大企業が主というのは、十分うなずけます。

ただ、国内中小企業のCSVの難しさというのは、
何も「企業悪玉論の対象になりにくいからCSVは必要ない」
「そもそもヒト、モノ、カネが不足」ということだけではないのです。

ポイントは、
「国内中小企業にとってのCSV活動が、
 往々にして、これまでやってきたことと、何ら変わらないと受け止められる」

ことにあります。

CSVの3つの戦略のうち、
「製品と市場を見直す」これはいいでしょう。
自分たちの製品を通して、地域や社会の課題解決に結びつける。
東日本大震災後も、そうした事例が出てきましたが、
今後もそうした流れが出てくるでしょう。

問題は「バリューチェーンの生産性を再定義する」
「企業が拠点を置く地域を支援する産業クラスターをつくる」

中小企業にとって、ロジスティックスの見直しは死活問題のため、
これまでもロジスティックスの効率化に取り組んできたし、
これからもそうするでしょう。

調達だって、地域に根ざした、地元志向の企業からすれば、
これまでもなるべく地元産の原材料を調達してきたし、
これからもそうするでしょう。

流通やロケーションの事例は、国内で取引が完結している企業にとっては、
往々にして、縁遠い話に聞こえるでしょうね。
とはいえ、実際は、買物弱者が問題になっている分、
ここには、中小企業のCSV実践のカギがあるわけですが。

従業員の生産性については、ホントに難しいところですね。
往々にして、従業員を大切にすることを追及すると、
絶対にクビにしないことに帰結し、
それは、地域や社会全体でみれば、職に就けなかった人の就職の幅を狭め、
逆に従業員の流動性を高める(頻繁に首を切って入替える)と、
従業員の生産性が下がりやすくなる。

「企業が拠点を置く地域を支援する産業クラスター」を地元企業に話すと、
「それって商店街?」と聞き返される。

いずれにせよ、国内中小企業にとっては、
CSVの項目の大半はすでに取り組んでいるため、
CSVに取り組もうというインセンティブが起きにくい。

その点で、戦略的かつ全体的にCSVに取り組むとしても、
中小企業にとっては、なかなか実感の持ちにくい話なのかもしれません。

ただ、「自分たちの製品を通して、何らかの社会の課題を解決する」
(社会に貢献する、だと、必ず「これまでもそうでした」となる)ことは、企業の大小を問わない為、
そこに、中小企業のCSVのあり方が問われそうですね。

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