現代版三方よし・CSV論 -5-

今回からしばらく、「CSV」という考え方について紹介します。

「CSV」とは「Creating Shared Value(共通価値の創造)」の略。
資料として用いるのは、
『Diamondハーバード・ビジネス・レビュー(以下「資料」と表記)』の2011年6月号。

共通価値の創造戦略1 ~製品と市場を見直す

ポーターは、社会的ニーズに対応することで、
企業も儲けることができる、と言ってます。

事例としては「先進国」「貧困地区や開発途上国」になります。

先進国の事例

・食品メーカーは、消費を刺激するために味や量を重視してきたが、
「体によい栄養」という基本ニーズに立ち返っている

…これは、日本のほうが進んでいると思われます

・インテルとIBMは、デジタル技術を活用して電力消費を削減する方法を提案している

…社会的ニーズという点では、震災後の日本のほうがはるかに大きいため、
今後この分野では、日本市場は一層の盛り上がりを見せると思われます。

・ウェルズ・ファーゴは、
顧客の予算管理や与信管理、債務返済をサポートする、
商品やツールを開発している

…なんて書くと、ウェルズ・ファーゴって、
レイクとかの消費者金融? って思いがちですが、
銀行業だけでなく、証券業、保険業など総合金融サービスを提供し、
国際金融市場における主要参加者として大きな役割と影響力を持つ、
超巨大銀行です。

イメージとしては、三菱UFJフィナンシャル・グループ。

・GEでは「エコマジネーション」関連の売上が、
2009年では180億ドルに達した。

…「エコマジネーション」=「エコロジー」+「イマジネーション」
=「想像力で地球に優しい技術を開発すること」

http://japan.gehealthcare.com/cwcjapan/static/eco/intro/eco.html

具体的には、風力発電設備のほか、高効率ガスタービン、太陽電池、
石炭ガス化複合発電などのエネルギー関連、
水処理用の膜、海水淡水化装置などのプラント関連、などなど

貧困地区や開発途上国の事例

・ケニアでは、ボーダフォン(とサファリコムのジョイントベンチャー)の
モバイルバンキングサービス「M-PESA」が、
3年間で1,000万人の顧客を獲得

…M-PESAとは、携帯電話のSMS(ショートメール)機能を利用して、
指定した相手の携帯電話にお金を送ることができる画期的な電子マネーサービスです。
ホテル予約支払い、バス予約支払いなどのサービスも利用可能とのことです。

ケニアでは貧しい人が多く、銀行口座もクレジットカードも持っていない人が多いのが実情です。
また、田舎に住んでいる人はわざわざ銀行にいくのも一苦労ですし、それだけでお金がかかります。
そんな時にサファリコム提携のM-PESA取次店(国中無数にある)にいけば、
簡単な手続きと安価な手数料で、送金できます
(手続きには身分証の提示が必要なため、
携帯が盗難されてもM-PESAのお金は盗られることはありません)。

利用者の中には治安が良くない場所で、
大金を持ち歩くのが危ないので長距離移動の前に自分の携帯電話に送金をして、
到着後に現金として受取るという使い方をしている人もいるようです。

詳細はこちらから。
http://www.advertimes.com/20110513/article14530/

・インドでは、トムソンロイターが、
平均年収2,000ドルの農民向けにはじめた、
月極めサービスが将来有望かもしれない。

これは、3ヶ月5ドルの料金で、
天候や穀物価格に関する情報や、
農業へのアドバイスが受けられるというもの。

…おそらく、ITが浸透していない地域での農民向け、
ということでしょうね。

共通価値の創造のための製品見直し

上記のような共通価値の創造のために、ポーターは、

「企業はまず、自社製品によって解決できる、
またはその可能性がある社会的ニーズや便益、
および害悪を明らかにすべきである。」

「社会的ニーズを常に捜し求めることで、
既存市場において差別化とリポジショニングのチャンスを見出し、
またこれまで見逃していた新市場の可能性に気づくことができるだろう」(P16)

と語っています。

従来、商品開発やマーケティングでとりあげられていた「ニーズ」とは、
あくまで個々人のニーズであり、
それが社会と常につながっていたとは、いいにくいのが現状です。

今後は、マーケティングで言われてきた「ニーズ」も、
社会課題と個々人のニーズとのマッチングの中で、
問われてくるようになるのでしょう。

次回からは、「バリューチェーンの生産性を再定義する」についての話をします。
具体例も紹介するので、お楽しみに!

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