現代版三方よし・CSV論 -2-

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今回からしばらく、「CSV」という考え方について紹介します。

「CSV」とは「Creating Shared Value(共有価値の創造)」の略。
Excel等で使用するカンマ区切りとは、一切関係ありません。

資料として用いるのは、
 『Diamondハーバード・ビジネス・レビュー(以下「資料」と表記)』の2011年6月号。

前回のおさらい ~企業悪玉論とCSRについて~

前回、企業悪玉論について軽くふれましたが、
資料にも、最初に企業悪玉論についてふれてます。

企業悪玉論強化のプロセスは、以下の通り。

<ステップ1>

「近年『企業の事業活動こそ、社会問題、環境問題、経済問題の元凶である』と、
前にもまして考えられている」

「『企業は地域社会の犠牲の元に繁栄している』と広く認識されてもいる」

<ステップ2>

「企業がこれまで以上の責任を背負うと、
『社会がうまく機能していないのは企業のせいである』といっそう非難される」

<ステップ3>

「政治家たちは、競争力を低下させ経済成長を抑制するような政策を掲げざるを得ない」

(いずれも資料P9)

この3つのステップが循環して、
ますます企業の首をしめていくわけです。

ポーターもいうように、
この原因の大半は、企業そのものにある。

「じゃあ、企業悪玉論は間違いないんだから、
政府が(あるいは市民社会が)適切に管理すりゃいいじゃん。」

といいたいところですが、

「政府と市民社会は、事業活動を犠牲にして社会の弱点に対処しようとするため、
問題が悪いほうにこじれる」(資料P10)

と喝破しています。

ポーターは、この個所について、
細かい説明は行っていません。
具体的に、どう「問題が悪いほうにこじれる」かの説明はしていません。

個人的には、この個所についてどのように感じるかで、
慈善型ボランティアと事業型NPO、社会起業との差異がでてくるのかな、と思います。

まぁ、「問題が悪いほうにこじれる」わかりやすい例は、途上国支援ですかね。
かわいそうだからって、食料やカネをばらまいても、
自立できなきゃ、依存してしまう。

そんなわけで、ポーターは、

「事業活動と社会を結びつけるために、企業は率先して行動しなければならない」(P10)

といいます。

しかし、これまでの企業は、CSRという考え方に囚われていた。
つまり、

「企業にとって、社会問題は中心課題ではなく、その他の課題なのである」(P10)

それを解決するのが「共通価値」という概念。
(原語は「Shared Value」なので、「共有」でも「共通」でもいいかと。
資料では「共通価値」と記載されています)

「共通価値」の定義

ポーターいわく

「企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、
みずからの競争力を高める方針とその実行」

「社会の発展と経済の発展の関係性を明らかにし、
これを拡大すること」(P11)

と定義しています。
要は、儲けるために地域や社会の改善、発展に取り組むことだといえます。

そして、ポイントなるのが「価値」。

価値とは、

「顧客から得た売上げから、そのためにかかったコストを差し引いた利益」(P11)

ビジネスは、この価値を社会問題に結びつけず、
社会部門(政府や市民社会)は、企業以上に価値を考えない。

「社会組織や政府機関は、実現された便益、
あるいは費やされた資金という視点だけで成功を判断する」(P11)

要は、コスト度外視の便益は成功でもなんでもないですよ、と言ってます。
これは、考えさせられるところがあるのではないでしょうか。

共通価値と資本主義

「いまこそ、資本主義に関する理解を新たにすべき時である」
「資本主義のみならず、資本主義と社会との関係も再構築されるだろう」

とポーターもいうように、
共通価値の考え方は、資本主義の考え方の見直しを求めることになります。

かといって、資本主義に代わる、
社会主義とか共産主義とか○○主義を構築しようというのではなく、

あくまで資本主義の枠組みの中で、
そのあり方を一部見直す、ということになります。

具体的に、何を見直さないといけないのか。

「経済効率と社会の進歩の間には、トレードオフが存在する」

という観点を中心として、次回考えてみたいと思います。

もうしばらく、概念的な話が続きますが、
ご容赦ください。

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