「近江商人=社会起業家」という考え方について -1-

これまで近江商人の特色について、
ざっと、ほんの一部分のみふれてきました。
他にも、近江商人の特色はいろいろあるんですが、
ここでは触れません。

この内容をベースとして、「近江商人=社会起業家」という考え方をする人の、
その考え方の背景について、
いくつか列挙してみたいと思います。

個人的には、次の3つに分けられるのではないかな、と思っています。

(1)「正当な利益」を求めて商売する人は、即ち社会起業家
(2)「正当な利益」を求めて商売し、かつ善事を行う人が社会起業家
※善事については、陽徳、陰徳は問わない
(3)「正当な利益」を求めて商売し、かつ陰徳善事を行う人こそ、社会起業家

近江商人に社会起業家の類型を求める人にとって、
 「正当な利益」を求めることは最低条件です。

「その利益が、勤勉の結果得られたかは問題にしない。
M&Aしようが何しようが、とにかく、善事が行えればいい」

という考え方の人は、そもそも近江商人の生き方には賛同しないでしょう。

(2)と(3)の区分は、かなり難しいですね。

社員一同と、会社周辺の掃除をするのは、陽徳か陰徳か?
社員一同と、地域イベントを手伝うのは、陽徳か陰徳か?
これらの行事を社長がブログにのせたり公表したら、即陽徳になるのか?

まぁ、ケースバイケースでいろいろありそうですね。

個人的には、陰徳善事は、
個人で実践するには、きわめて有効に働くし、
組織内で隠匿善事を実行すると、
それはそれで有効な処世術じゃないかと思っています。

ただ、組織単位での陰徳善事は、
そもそも隠匿するのが難しいし、
これまでも書いたように、
現在社会で実践するには問題があるように思われます。

社長が、自分のポケットマネーで匿名寄付をする分には、
素晴らしい行いであっても、
会社のお金で匿名寄付をするのは、いかがなものか、ということです。

特に、上場した株式会社の場合、
株主からしたら、匿名寄付なんてもってのほか。

社名を出して寄付して(陽徳)、
それが会社のブランドイメージに貢献するならまだしも、
(そうすると、株の価値が上がりますからね)

匿名寄付なんて、株主からすればメリットは何もない。
ソフトな言い方をすれば、
「会社から勝手に○○税(災害支援税、とか)を徴収された」
もっと露骨にいえば、
「自分の金をドブに捨てやがって」ということになります。

また、そもそもなぜ陰徳善事をするのかといえば、
近江商人的には、「会社の永続的な繁栄のため」「後継者に恵まれるように」。

そうであるならば、この目的を果たすために、
陰徳善事によらず、別のやり方を模索することも必要です。

まぁ、「善事を通してブランドイメージを高め、会社の繁栄に寄与させる」
という考え方もアリですが、そうなると、もはや陰徳じゃあない、ですよね?

こうしたわけで、(3)の考え方は、
陰徳善事を前提にしている時点で、社会起業家の定義としては成り立たない。
ということがいえます。

とはいえ、(3)の考え方を支持する人も多いだろうと思っています。

以前「あなたの『カネ』についてのイメージは?」という記事で、
ボランティアはよくて、社会起業はダメという考え方には、
<カネ>に対するとらえ方の問題があると書きましたが、

こと陰徳善事に関しては、それに加えて、
日本むかしばなしの影響があるんじゃないかなぁ、と思っています。
(最近うちの子に読み聞かせているので、必然的に読み直してます)

だいたい、日本むかしばなしって、

「善良で、勤勉な貧乏人」
「ずる賢くて、勤勉でない貧乏人」
「ずる賢い金持ち」

この3パターンのタイプが多いと思うのです。

まず、近江商人のような「善良で、お金を周囲のために使う金持ち」が、
ほとんど登場しない。

こうなると「金持ちにも、善良な金持ちとずる賢い金持ちがいる」ではなく、
「金持ちって、なんかずる賢い」という
マイナスイメージのみが強調されやすい。

あと、「善良で、勤勉な貧乏人が陰徳善事で報われる」
というパターンも多いですよね。
かさじぞうなんかは、その典型ではないかと。

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