ソーシャルイノベーション考 ~『社会イノベータへの招待』編~ -3-

社会起業の「革新性」について、
『社会イノベータへの招待』をベースに、
「ソーシャルイノベーション」について考えるシリーズ。

今回は、社会課題解決のためのプラットフォームに
求められる機能についてみていきます。

社会課題解決のためのプラットフォームに求められる機能とは?

『社会イノベータへの招待』では、プラットフォームについて、

「多様な主体の間で協働を成立させる技術や組織的基盤」

と定義しています。

とはいえ、これだと、
あんまりピンとこないのではないでしょうか。

具体的には、身近なこんなものも、
プラットフォームという言い方もできます。

・クレジットカード

「クレジットカードは、それが存在しなければとてもお互いを信用できない
取引主体同士の間に信用を成立させて、
相互作用の成立を可能としているプラットフォームである(P62)」

・株式会社

「株式会社は、早い段階から発達した典型的なプラットフォームで、
さまざまな知恵が盛り込まれているので、参考になる。

(中略)株式市場には、

(1)上場企業や取引会員の審査基準など信用を確保する機能
(2)情報開示を強制して不正を防止する機能
(3)「ストップ高」制度など心理的な要因によって
市場が暴走するのを防止する機能、

などが盛り込まれている(P62)」

・伝統的な組合や共済

「地域社会に伝統的にみられるような組合や共済の仕組みなども
プラットフォームと言ってよい(P63)」

このように書くと、
ここでのプラットフォームとは何を指しているか、
ぼんやりと輪郭をつかむことができるのではないでしょうか。

なんか、互いを信用、信頼できるようにするための場とか技術とか、
 そういったイメージを持たれたのでは?

『社会イノベータへの招待』では、プラットフォームについては、
具体的にそれを作るための方法論は確立されていないとしながらも、

プラットフォームに求められる機能について、
以下の3つを指摘しています。

(1)共通インターフェースの提供
(2)価値醸成(「信用醸成」のほうがニュアンスとしては近い)
(3)インセンティブ付与

「共通インターフェース」として、
典型的なわかりやすい例は、やはりクレジットカードでしょう。

『社会イノベータへの招待』でも、
決済とかの権利関係を共通にするためにも、
プラットフォームが必要なのだと書いています。

ただ、ここでの共通インターフェースは、
それだけにとどまらない。

『社会イノベータへの招待』では、
次のように記載されています。

「共通インターフェースの構成要素をさらに

(1)語彙--使う用語--
(2)文法
(3)文脈--共通の経験の蓄積--
(4)規範--ルール--

の4要素に分解することができるだろう(P64)」

なんか、ぼんやりした要素が並んでいるように見えますが、
これは、伝統的な地域の組合や共済を考えると、
考え方のとっかかりになります。

地域組織の場合、語彙は方言(国単位だと言語)になるでしょうし、
文脈は「空気」と置き換えてもよい。
規範については、村独自の掟であり、それも空気に含まれる。

この考え方でいけば、
宗教は強固な共通インターフェースを共有しており、
それゆえ強固なプラットフォームを構築しているといえますね。

というより、組織が形成されるにしたがい、
こうした共通インターフェースは自動的に構築されていきます。

企業だって、業種や職種、あるいは各企業ごとで、
使用している独特の語彙は存在します。

たとえば「データベース」という言葉一つ取ってみても、
各組織とかで、微妙にそれが示すニュアンスは異なるはずです。

ちなみに、企業の合併が難しい一因は、
共通インターフェースのズレといっても差し支えないでしょう。

理想としては、合併の初期段階で、
相互の実務部門でこうした共通インターフェースを
相互補正できれば幸いですね。
(これが遅れると、結局パワーバランスの問題が難しくなり、
相互補正が難航する)

まぁ、地域とか宗教とかいった、
そうした従来のプラットフォームの力が弱まっているから、
社会課題解決のためのプラットフォームを再構築しないといけない。

どうやれば共通インターフェースを構築できるかの方法論は、
『社会イノベータへの招待』でもわかっていないのですが、

社会課題解決のためのプラットフォームには、

「同じコアの価値観を持った人を集めて、
 その人たちを外部から保護する」

ことが必要であり、
コアの価値観が共通インターフェースといえそうです。

ぶっちゃけていえば、
社会課題解決のためのプラットフォーム内では、

  関係者みんなが、
 いわゆる意識高い系とか馬鹿にされることなく、
 かつ内部紛争の火種を早いうちに解決し、

  それぞれが指定のルールに従って、
 自発的に発言、行動する。

そんな場を、個人的にはイメージしています。

その意味では、『チームの力』に記載されているような、
リーダーシップや人間関係づくりが、
社会課題解決のためのプラットフォームづくりに
寄与するのではないでしょうか。

次回は、プラットフォームについて、
もう少し触れていきます。

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