ソーシャルイノベーション考 ~『社会イノベータへの招待』編~ -2-

社会起業の「革新性」について、
『社会イノベータへの招待』をベースに、
「ソーシャルイノベーション」について考えるシリーズ。

今回は、民間で社会課題に取り組む上での
メリット、および課題について、
『社会イノベータへの招待』での見解を見ていきます。

民間で社会課題に取り組む上でのメリット

民間で社会課題に取り組む上でのメリットとは何か?

(1)モチベーション効果
(2)創造性の高さ

「(1)モチベーション効果」については、
『社会イノベータへの招待』では、以下のように書かれています。

「現場に近いところにいるすべての人々に、
『自分で変化が起こせる』という感覚を持ってもらえる、
モチベーション効果である。(P55)」

言い換えれば、地域や社会の課題に対して、
他人事ではなくなる、というところでしょうか。

「(2)創造性の高さ」については、

行政が画一的にモノやサービスを提供する状況の、
逆を考えるとわかりやすい。

「民間の自発的な取り組みを許容することによって、
より多くの人が現場で工夫を重ねて、
画期的に新しいサービス形態を生み出す余地も生まれてくる(P55)」

こうした取り組みの中で、
ドラッカーのいう「予期せぬ成功」が起こる可能性もある。

「サービス開始当初は理解もされず細々と始めた取り組みが、
当事者の予想を超えて大きな広がりとなることがあるので、
このような多様性は重要だ(P55)」

 

民間で社会課題に取り組む上での課題

一方、民間で社会課題に取り組む上での課題として、

(1)「正統性」を担保できない
(2)自発性は揮発性

行政や政府による社会課題への取り組みは、
「お上がやっている」という、
それ自体ですでに正統性を確保している。

無論、お上がやることはすべて正しいわけではないので、
正当性をお上が持っているわけではないですが。

その点、どこぞの馬の骨たちが社会課題に取り組むといっても、
そこには正統性のかけらもない。

「何で、お前たちがそんなことに取り組まないといけないわけ?」
「誰の許可を得て、そんなことしてるわけ?」

と言われても、反論できるだけの正統性はカケラもない。
せいぜい、イベント等の前に行政に申請しておくといった、
ある意味で「虎の威を借る狐」になることくらい。

できることは、活動実績を積み上げることしかない。

「民主主義的な手続きを経ることで、
取り組みの公共性に裏づけが与えられる公共事業に対して、

NPOなどは、特定のグループの信念に基づいて提供されるものであって、
その社会的意義については必ずしも認知されるものではなく、
活動実績などに基づいた社会的評価を仰がなくてはならない(P54)」(強調筆者)

ここでの「活動実績などに基づいた社会的評価」とは、
市場メカニズムによる評価と言い換えてもいいでしょう。

市場による評価は、ある種公正ではありますし、
この点で評価されることを目指すのは、重要ではあります。

ただ、社会的評価が高まると、必ず一定の「アンチ」が現れるのが、
世の宿命というもの。

加えて、いわゆる非営利組織には、
高い確率で、以下の中傷(?)がつきまとう。

「国から助成を受ければ『御用NPO』といわれ、
企業から助成を受ければ『癒着だ』といわれ、
法律の改正を目指せば『レントシーキング(※1)』といわれ、
市民から寄付を募れば『事務費に使うな』といわれ、
自腹を切れば『金持ちの道楽』といわれ、

少ないカネで必死に成果を出せば、
『ほらカネがなくても大丈夫』といわれる。」

 

※1 レントシーキング

民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、
法制度や政治政策の変更を行なうことで、

自らに都合よく規制を設定したり、
または都合よく規制の緩和をさせるなどして、

超過利潤(レント)を得るための活動を指す。

 

以前も似たことを書きましたが、
レントシーキングを追加してみました)

要は、活動実績などに基づいた社会的評価がないうちは、
正当性を担保できない問題があるけれども、

活動実績などに基づいた社会的評価ができてくると、
無理解、批判、中傷が増えるという問題が生じる。

 

まぁ、「自発性は揮発性」うんぬんは、
昔から言われている問題ですよね。

要は、持続性に難がある。
震災ボランティアなんかは特にそうですが、
一定期間を過ぎれば、どうしても興味が失せてしまいやすい。

民間で社会課題に取り組む上でのメリットを生かしつつ、
そこから生じる課題に対して、
スタッフや支援者等の関係者をどう保護し、引き上げていくか。

そのためにも必要なのが、
プラットフォーム構築なのではないかと、
個人的には考えています。

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