『イノベーションとは何か』から考えるここ最近のイノベーション -1-

社会起業の「革新性」について、

「そもそも『イノベーション』ってなに?」を考えるシリーズ。

これまで、シュンペーター、ドラッカーと、
どちらかといえば古典というか、
源流を振り返る視点が主でした。

今回からは『イノベーションとは何か』を通して、
最近言われているイノベーション論について、
整理してみたい。

こんなイノベーションは失敗する

『イノベーションとは何か』は、2011年発行。
シュンペーターやドラッカーのころよりも、
結構後に書かれています。

そうなると、シュンペーターやドラッカー当時よりも、
事例がたまっているはずで、

「こうすればイノベーションが起こせる」という経験則も、
蓄積されている。

……そう考えがちですよね?
ところがどっこい、『イノベーションとは何か』では、
どちらかというと、

「こんなイノベーションは失敗する」

といった、「イノベーションの失敗学」とでも
いうべき内容になっている。

というより、成功事例をいくら分析しても、
それは結果論であって、
どうすれば成功できるかがわかるわけではない。

と、成功事例の分析アプローチは無駄だと切って捨てる

「たとえば

『スティーブ・ジョブズは大好きなことをしたから
イノベーションを実現した』

という事実が正しいとしても、

そこから

『大好きなことをすれば
常にイノベーションが実現できる』

という法則は導けない。」(『イノベーションとは何か』P2)

では、『イノベーションとは何か』では、
どのようなトピックが書かれているのか?

1.技術革新はイノベーションの必要条件ではない
2.イノベーションは新しいフレーミングである
3.どうすればイノベーションに成功するかはわからないが、失敗には法則性がある
4.「ものづくり」にこだわる限り、イノベーションは生まれない
5.イノベーションは突然変異である
6.イノベーションにはオーナー企業が有利である
7.知的財産権の強化はイノベーションを阻害する
8.銀行の融資によってイノベーションは生まれない
9.政府がイノベーションを生み出すことはできないが、阻害する効果は大きい
10.過剰なコンセンサスを断ち切ることが重要だ

(『イノベーションとは何か』P3~4)  ※色分け筆者

このうち、実に半分(トピック3、4、7、8、9)が、
「こんなイノベーションは失敗する」というお話になります。

残りのトピックも、シュンペーターの理論から、
容易に導ける結論であることがわかります。

要は、シュンペーターのイノベーション理論の原点に立ち返りつつ、
これまでの「なんちゃってイノベーション」の失敗を分析。
かつ、成功事例からのアプローチを一切採用しないのが、

『イノベーションとは何か』の立ち位置になります。
(『イノベーションとは何か』では、
本文にはドラッカーのドの字も出てこない)

加えて、最近のイノベーション論の入門書として、
イノベーションのジレンマ、リバースイノベーション、
オープンイノベーションといった、

近年言われているイノベーション論も踏まえている
(というより独自に解釈されている)のもポイント。

おそらく、ソーシャルイノベーションというものを考える上では、
とりわけ「こんなイノベーションは失敗する」という内容を、
きちんと理解しておくことが大切でしょう。

なぜなら、すでに、
「こんなイノベーションは失敗する」事例は、
ソーシャルビジネスとかの分野でも実行済みなので。

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