『世界を変える偉大なNPOの条件』-27-

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これまで、NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていったわけですが、

今回からは、資料を使って、
もう少し組織内部の話をします。
具体的には、ヒト、カネ、組織運営の話です。

ま、協働、ネットワークとは少し外れますが、
その土台となるお話です。

資料では「第8章 影響力を持続させる方法」という箇所になります。
これまでの6つの原則が、いずれも、
外部に働きかけ、影響力を高めるための原則であったのに対して、

この第8章は、内部基盤を整えて、
影響力を持続させるための原則になります。

ヒト、カネ、組織基盤で影響力は持続する

「影響力を持続させる方法」では、
のっけから、ティーチ・フォー・アメリカ立ち上げ時の、
組織崩壊の危機が描かれています。

ま、経験もなく、情熱だけで突っ走っていると、
組織は、とりわけ非営利組織は、
以下のような症状にかかりやすいわけですよ。

・役割分担があいまいで、一人が多数の仕事を抱えて、
 簡単に燃え尽きてしまう

・意思決定システムがあいまいで、不満がたまってしまう

・カネがすぐに底をつく
その結果……

社会セクターは、勢いを失った組織や、
もともと影響力のない組織であふれている

組織の土台ができていないために、
影響力があってもそれを維持できない

NPO関係者たちにとっては、
言われたい放題に感じるかもしれませんが、
否定もできませんよね。

往々にして、

NPOの能力と、彼らが取り組もうとする問題の大きさの間には、
深い谷のような隔たりがある

わけです。

「いや、自分たちは、地域に草の根でやろうとしている団体なんで、
そんな、社会に影響力とか、全然考えてませんので」

という団体も多いわけですが、
現状維持を望むことすら甘くないことも、
多くのNPO関係者は、肌身にしみて感じていることでしょう。

要は、ヒト、モノ、カネの問題です。
 加えて、組織運営のお話になります。

そんなのは、別に非営利組織でなくても、
中小企業だって、似たような悩みで苦しんでいるわけですが、
やっぱり、非営利組織独特の問題だってある。

次回以降、資料の構成に従って、
ヒト、カネ、組織基盤の話をしていくわけですが、
その前に、資料に面白い話があったので、
以下にその話をします。

一つは、NPO関係者は、資金調達のために、
話を売り続けて歩かないといけない宿命にある点。

もう一つは、
「資金は組織ではなく、活動に支払われるべき」という、
よくある誤解について。

NPO関係者は”話を売って”歩き続ける宿命を背負っている

話を売って歩かないといけないのは、
スタートアップであれば、ベンチャー企業だって一緒。

ただ、NPOの場合、
基本的には、それを永遠にし続けないといけない。

「ほとんどのNPOは十分な額の寄付を得られず、
毎年、自分たちの”話を売って”歩かなければならない。
一日一日を生きていくために資金集めをするのは辛いことだ」

資料に記載された、NPO関係者の率直な真情の吐露です。
余談ですが、NPOへの寄付というのは、
いろんなところから集めていかないといけないのですが、
その過程は、往々にして、悲哀に満ちていく傾向にあります。

国から助成を受ければ「御用NPO」といわれ、
 企業から助成を受ければ「癒着だ」といわれ、
 市民から寄付を募れば「事務費に使うな」といわれ、
 自腹を切れば「金持ちの道楽」といわれ、
 少ないカネで必死に成果を出せば、
 「ほらカネがなくても大丈夫」といわれる。

…ま、これは狭い意味でのNPOに限らず、
非営利組織、および研究者は、
みんなこの悲哀に苦しむ宿命にあるのですが。

研究者の場合は、「御用学者」ですかね。
一時期、そんな言葉が話題になった気もしますが、
大学の研究者は、基本的に国から補助金を受けているわけで、
その意味では、みんな御用学者。

資金は組織にも支払われるべき

資料でも指摘されているのが、

資金提供者(個人の寄付、投資家、助成先など)が、
 「資金は組織でなく、活動に支払われるべきだ」と、
 考えていること。

これは、日本独自の話題っぽいですが、
アメリカでも、どこでもよく言われる問題です。

資料にだって、

「社会セクターでは、お金は1セントたりとも諸経費には使わず、
直接、事業活動に振り向けられるべきだ、という、
間違った信念を(資金提供者たちは)受け継いでいる」

と記載されています。
個人的には、個人の寄付レベルであれば、
ま、それはそれでいいんですが。
(それでも、個人の寄付リテラシーの向上を願う気持ちも、
あったりします)

でも助成団体、財団レベルだと、それだといかんだろ、
なんて思ってしまいます。

最近では、組織基盤を強化するための助成、支援も、
財団レベルで増えていますが。

パナソニックの組織基盤強化助成などが有名ですね。
http://panasonic.co.jp/citizenship/pnsf/

一方で、NPO団体内部でも、
組織に投入することの大切さを、
認識することも大切になります。

ティーチ・フォー・アメリカでもそうだったように、
NPO関係者が一番、組織にではなく、
 活動に資金を投入しようとするわけです。

具体的に(そんなに具体的でもないですが)、
ヒト、カネ、組織基盤にどう投入していくのか。
それは、次回以降みていくことにします。

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