『世界を変える偉大なNPOの条件』-23-

しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。

今回は、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、
「原則6:権限を委譲する」について、紹介したいと思います。

優れたリーダーは在任期間が長い、これていいの?

資料では、「優れたリーダーは在任期間が長い」と指摘しています。

ほぼすべての組織で、一人のリーダーが数十年指揮をとっていた。

一般のNPOでは、リーダーの在職期間は
わずか平均四年というデータと比較すれば、
この事実は驚異的である。

間違えてはいけないのは、
人材があまりに不足しているから、
他にリーダーやる人が誰もいない、というわけでは、
必ずしもない点。
偉大なNPOでは、右腕も優秀な幹部職員もいますしね。

ただ、日本のNPO業界だと、
どう見ても偉大なNPOといえるだけの業績もないけれど、
リーダーの在任期間だけは長い、というケースは、
往々にしてあるような気がしています。

資料では、リーダーの在任期間の長さについて、
以下のように肯定的にとらえています。

これほど在職期間が長いのは
健全ではないと考える人もいるかもしれない。

リーダーが組織の拡大に執着する場合は、その通りだろう。
しかし、こういった指導者や上級幹部の継続性こそが
組織の成功につながっている。

一つには、リーダーが外部との関係構築に
多くの時間を使っている点だ。
リーダーがいなくなれば失われるものも大きい。

ほとんどのNPOの活動は、
個人に蓄積された暗黙知に依存している。
トップリーダーがいなくなると、
蓄積された知恵と技術を失うことになる。

また、NPOが解決しようとしている問題は非常に複雑で、
リーダーが絶えず変わるようなことがあると、
外で達成する成果よりも組織の内部に目が向きかねない。

…まぁ、確かに、
リーダーが組織の顔になっているケースは非常に多いですよね。

リーダーがいなくなると、
蓄積された知恵と技術は失われがち。

でも、それを継承する努力は、
常に忘れてはいけないですよねぇ。

偉大なNPOの場合は、
リーダーが突然いなくなっても、
業務レベルでは、ある程度は問題なく回るでしょう。
(組織運営レベルではパニックになります。その点は後述)

でも、リーダーの在任期間だけが長いNPOだと、
その点は致命的になりがち。

偉大なNPOは、後継者を外部からヘッドハンティング

NPOの職員は、燃え尽き症候群に陥りがちであり、
離職率が高いのが現状。

ま、現実問題、離職率の問題の最たるものはカネの問題ですが、
それを差し引いても、離職率は高くなりがち。

しかし、離職しないリーダーの多くは、
権限委譲をほとんどしません。

カリスマ性のあるリーダーが率いるNPOは多いが、
協力型の指導体制を敷かず、権限を手放せないリーダーが少なくない。

これは『創設者症候群』として知られる現象だ。

資料では、

創設者症候群は非営利セクターにとって、
対応を間違えると組織を危機に陥れかねない重要な問題である。

とありますが、
創設者によるワンマン企業だって、似たようなものですけどね。

創設者症候群がいかに難しい問題かという点では、
資料で紹介している偉大なNPOだって変わりません。

本書で取り上げた12の組織のうち、
7団体は創設者(または成長期リーダー)がトップを務め、
後継者育成について議論を始めたばかりである。

日本でも、おそらく今注目されている社会起業家たちのほとんどは、
在任期間が長くなるのでしょう。

とりわけ、フローレンスの駒崎さんのように、
代表の顔やオピニオンで社会に影響を与えようとする場合は、
なおさらそうなるでしょう。

その点で、創設者症候群は、
常に古くて新しい問題になります。

資料で注目すべきは、
創設者からの世代交代が完了した組織。

興味深いことに、こういった組織はいずれも、
強力な運営幹部陣を従えていながら、
CEOの後継者を組織内部から選んでいない。

こうした組織は、すべて外部からのヘッドハンティングにて、
代表を新たに選出している。
これは非常に興味深い。

企業の場合だと、社長、CEOを外部からヘッドハンティングするケースは、
だいたいの場合、組織をがらりと変革したい場合ですよね。

ちょっと古いですが、
米yahooのCEOになったマリッサ・メイヤーさんのケースとか。
マイクロソフトの次期CEOは、どうなるのやら。

これに対して、偉大なNPOのケースでは、
組織変革をするために後継者を外部から選出しているわけではない。
資料では、

大きな影響力を及ぼすような非営利組織では、
カリスマ性のある外部志向のリーダーが組織のために語り、
地域や他のセクターに訴えかける必要がある一方、

COOや運営幹部は内部の管理機能を担当することが
多いということが考えられる。

と推論しています。
ま、間違っていないでしょう。

となると、言葉は悪いですが、

 後継者選出においては、
 いかに客寄せパンダとなれるかが、
 問われるということでしょうか?

言い換えれば、
独裁しないジョブズみたいなもんでしょうかね?
でも、外部からの後継者が組織を乗っ取る、
ないしは、団体のミッションからずれまくってしまうケースって、
ないもんなんでしょうかね?

おそらく、その点を考える上でも、
次回取り上げる理事会が、一つのカギを握りそうな気がします。

「理事会ってなに? 相撲協会にもそんなのあったよね?」

という人も多いと思いますので、
次回は理事会について、基礎から見ていきたいと思います。

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