『世界を変える偉大なNPOの条件』-18-

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しばらく、
NPOの協働、ネットワークのありかたについて、
原則と事例両方のアプローチの一環として、

『世界を変える偉大なNPOの条件』(以下、資料と記載)を、
題材に考えていきます。


 

今回は、偉大なNPOが持つ6つの原則のうち、

「原則5:環境に適応する技術を身につける」について、
紹介したいと思います。

前回のお話は、PDCAサイクルをまわして、
社会の変化、環境の変化に対応していこう、
そんなお話でした。

一方で、NPOの場合、
イデオロギーにとらわれたりして、
なかなか自分たちが変化していくことは、
難しいですよ、というお話でした。

今回は、社会の変化に合わせて、
自分たち自身を変革させていくプロセスについて、
資料に記載されていた実際の事例をもとに、
考えてみたいと思います。

外部環境の変化を捉えるには、これまでの原則の実行が必要

資料によると、自身を変革させる要因は、
外部要因と内部要因の2つ。

外部要因については、

「変革への弾みは、組織を取り巻く環境の変化に応える形で、
 外からやってくることがある。」

内部要因については、

「組織内部の力学から変化が起こることもある。
 自分たちの事業を評価し、
 目標と実際の成果のギャップに気づき、
 方向転換を決断する場合である。」

と記載されています。
字面だけ見ると、当たり前のことを書いているんですが、
具体的な事例には、様々なドラマがあります。
資料では、外部要因の事例として、
アメリカズ・セカンドハーベストのケースが紹介されています。

この団体は、もともとは、
食べる上では問題ない加工食品などを保管して分配する、
食糧バンクを作ってきました。

食べる上では問題ない加工食品といえば、
包装に問題があるとかですね。
そういった加工食品を捨てずに、
貧困対策のための食糧バンクを作っていたわけです。

ところが、この団体が発足してから時が経つと、
食品産業は過去10年に大きく変化し、
缶詰から半調理食品や生鮮食品が主流になっていきました。

「食べる上では問題ない食品」も、
当然変化していきます。

今の日本でも、こうした食品について思い浮かべるのは、
缶詰とかではなく、賞味期限ぎりぎりの食品とか、
形がおかしい野菜とか、ですよね。
(こうした商品を集めているNPOもあります)

要は、外部環境が変化していったわけです。

アメリカズ・セカンドハーベストでは、
こういった変化を察知して対応し、
供給ルートを変え、生鮮食品のための設備を整え、
また調理済み食品事業を開発。

「いまは、缶詰や加工食品を運ぶ荷台ではなく、
 冷蔵設備のある輸送手段が必要だ。
 早く運ばないと食品が腐る」

ただ、別にこうした変化に対応しなくたって、
缶詰がこの世から消えたわけではないのですから、
従来どおり、食べる上では問題ない缶詰を集めていたって、
貧困対策の根幹である「飢え死に」には、
ある程度は対応できるでしょう。

ただ、それだと、
貧困層の健康問題に十分な対応ができない。

「環境に適応しなければいけない。
 自分が考える“現実”を環境に押し付けてはいけない」

ここで記載されている「自分が考える“現実”」とは、
「あるべき論」のことだといえるでしょう。

この「あるべき論」にとらわれていると、
変化に対応できないことは、
前回触れたとおりですね。

では、外部環境の変化をキャッチしやすくするには、
どうしたらいいのか?

それは、外にアンテナを張り続けていること。
 具体的には、これまで紹介した原則に取り組むこと。

アドボカシーを実行し、
企業との提携を図り、
支援者との広いコミュニティを築き、
他団体とのネットワークを広げる。

こうした取り組みを続けていると、
外にアンテナを張り続けることができます。

内部からの変革は、外因よりもはるかに難しい

続いては、内部から変革への動きが生まれたケース。
資料では、シェア・アワー・ストレングスのケースが、
紹介されています。

この団体のミッションは、
「米国での飢餓問題を解決する」

このミッションを掲げて活動してきたわけですが、
自分たちで満足のいく活動ができていなかった。

そこで、創立から20年たったときに…

「今後20年間に私たちが実現できる、
 最も切実だと思うもの、
 最も大胆な社会への影響力は何なのか考える」

結果、メンバーから、
「米国の子供の飢餓をなくす」という目標が挙がることに。

この目標に対して、顧問たちの支持もあり、
事業の優先順位を大きく変え、
まず手始めに、ワシントンDCのような都市で、
子供の飢餓をなくす方法を明らかにするところから着手。

「自分の行動を深く見つめなおしてみることで、
 新しい計画が生まれるだけではなく、
 古い事業を打ち切ることもできる」

もちろん、ミッションそのものを見直すケースもあるし、
さらには団体そのものを一度解散して、
別団体に作り直すケースだってあります。

ドラッカーなんかは、事業がうまくいっていても、
捨てることを意識しないといけない、なんてことを言っています。

でも、新しいことをやる以上に、
 これまでやってきたことを捨てることは、
 非常に勇気のいることですよね。

自分たちがその活動に愛着がある場合もあるし、
捨てることで切られるステークホルダーもいるし、
状況によっては、職員のリストラも必要かもしれない。

こうした様々な障害を乗り越えられる要素って、
いったい何なんでしょうか?

「それは、もちろん、ミッションへの執着でしょう」

という回答になるんですが、

「ミッションにこだわることは、
事業切り捨てにより、
ステークホルダーや職員を踏みにじることよりも、
大切なことなんですか?」

と聞かれて、
あなたは「Yes!」と即答でき、
かつ、それを実行できますか?

少なくとも、「いい人」には、
それはできないんじゃないかと思うのです。

個人的に、NPO業界にて、
この辺の感覚に日米差があるのかどうか、
興味深いところです。

 

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